IT創薬の期待高まる昨今。コンピュータシミュレーションで見る生体分子の世界。

2015-08-16 22:32:48 +0900 written by Honami Sakaizawa

コンピュータ・シミュレーションとはなんらかの現象をコンピュータでシミュレートする事であり、これを用いれば実験では見る事の難しいタンパク質やDNAなどの動的側面を再現し、検証することができる。現在IT創薬(コンピュータシミュレーションを用いて薬を創る)の期待が高まっている。その仕組み、シミュレーションの行い方を理解し実践するための専門的な本棚。本来数学、物理の素養が非常に求められる分野であるが、生物や化学を専門とする人でもわかりやすい本である。まずは手前の本で分子動力学を勉強して必要に応じて他の参考書を読めばよい。

1 コンピュータ・シミュレーションの基礎(第2版): 分子のミクロな性質を解明するために

コンピュータ・シミュレーションをする上で必要な基礎理論を、丁寧な式の導出も含めて基礎からきっちり解説しているので、物理の専門課程の教育を受けていない人でも理解できるようになっている。シミュレーションを学ぶ上でベースとなる本。全章のなかのいくつかの章や節は必ずしも学生や研究者が全て理解しなければならないものであるわけではないので、より専門的な内容は適宜取捨選択して勉強を進めていくべき。私は研究室に所属したての学部4年で輪講の教科書として活用した。

2 新しい量子化学―電子構造の理論入門〈上〉

本のおすすめ度:4.8

分子軌道計算を専門とする人にとってまず最初に取り組むべき本。予備知識としての線形代数も丁寧に説明されているので初心者でも取り組みやすい。だがこの分野は正直難しい。慣れるまでが大変。下巻もある。