緩和ケアって?人の最期は病気になると苦しいのか?

2015-08-15 19:21:46 +0900 written by 加藤 里沙子

人権に関連したテーマに興味のある人、必見です。 緩和ケアは、人権擁護の立場から生まれた学問といえます。 イギリスでは、治療できないことが医療の敗北だとされていた1950-60年代、治る見込みのない人たちは放置されていたそうです。その時期に、シシリーソンダース氏によって、世界中でホスピス運動の気運が高まり始め、緩和ケアが注目され始めました。

1 定本 ホスピス・緩和ケア

日本にホスピス精神を伝えた第一人者。 国際的な緩和ケアの歴史の流れを掴む、国内の緩和ケアの発展と課題を知るには最適の1冊である。これさえ読めば、緩和ケア学の歴史や国内の動向を俯瞰することができる。 ややボリュームがあるので、ほかの本を読んでから最後にまとめとして読む、あるいは、緩和ケアを知るためにこの1冊だけ読んでみるという使い方を勧めたい。

2 笑顔で「さよなら」を―在宅ホスピス医の日記から

イギリス留学経験のある緩和ケア医。 緩和ケアがイメージしづらい人にご一読をおすすめする。シシリーソンダースが建てたホスピスでの実習経験も記録されている。 特に重要だと感じた1文を紹介する。 (以下本文より) セントクリストファーホスピスでは、病気はあくまでもその人の一部の要素にすぎず、その人の家族を含めた環境、過去、仕事、宗教まで理解して、患者さん全体を捉えることが必要だという考え方が当たり前にあった。医療者は、患者の尊厳を人間として何よりも大切にするよう、徹底的にトレーニングしていた。

3 生と死を考える (生と死を考えるセミナー)

本のおすすめ度:4.5

死の準備教育を日本に伝えたことで知られるアルフォンス・デーケン氏。 日本人特有の死生観を知ることのできる一冊である。 特に重要だと感じた1文を紹介する。 (以下本文より) 「キリスト教思想では、生前の世界とははっきり区別されている。それに比べて、日本の場合は必ずしも断絶していない。「連続空間的な他界観」、「水平的他界観」と呼ぶ人もいる。死んだ後、残った魂が遠いところに行かないで、比較的近いどこかにいる。地方にはそういう魂の宿る山がある、日本の山岳信仰もこれに基づく。」

4 家で生きることの意味―在宅ホスピスを選択した人・支えた人

本のおすすめ度:3.3

ノンフィクション作家、評論家の柳田邦男氏による1冊。 「なぜ、今緩和ケアなのか、在宅なのか」という問いに社会学的な視点から説明している。 家と病院で過ごすことでは決定的に違うことがいくつもある。在宅で過ごすことを選んだ人たちの生き方を通じて、何が人生を豊かにするのかをもう一度考えることができる。

5 もしもあなたががんになったら

外科医を経て、千葉の診療所の院長として活躍する緩和ケア医。1つの診療所の実践モデル例としても、患者・家族のバイブルとしても参考になる。 (以下本文より引用) ”患者さんの苦痛の緩和は、その人の性格やがんの進行の仕方にではなく、療養する場の・問題、すなわち住み慣れた家で療養するかどうかに多くを負っている。” “家ならば好きなように時間を過ごし、精神的に安定した生活を送ることができ、痛みの緩和につながる。患者が、痛みという辛い症状の原因や対処法を知り、実際の治療の選択権を自らのものにできたとき、痛みを恐れることなく、それどころか、痛みをコントロール下に置くことができる。その結果、たとえ痛みがあってもつらくない状況が生まれた。”

6 がんの最後は痛くない

本のおすすめ度:4.1

『もしもあなたががんになったら』と同じ著者である。 がんを患う人、その家族向けに平易な言葉で、がんが進行するにつれてがんの痛みが強くなるのではないことを説明している。「がん」という病気ではなく、がんを患う人を垣間みることのできる1冊である。 とても読みやすい。私にとっては、緩和ケアの現場の様子を知りたいと思ったときに初めて手に取った本である。