工学的なアプローチから医療に寄与!~人工臓器⇄再生医療~

2015-08-02 18:12:43 +0900 written by 藤田 恭平

現代の医療技術は工学的な手法なくして存在・確立し得ないと言っても過言ではありません。 たとえば”ペースメーカー”という人工臓器はICチップを内蔵して電気刺激を発生させる部分と電気刺激を心臓に伝える電極から構成されています。このペースメーカーだけをとっても心臓に一定の電気刺激を与えるためのコンピュータ制御や心臓と接触する電極の生体適合性など様々な工学技術がこの人工臓器に結集されていると言えます。 さらに近年では遺伝子や細胞工学・組織工学を使った再生医療によって機能不全に陥った臓器や組織の代替物を創成しようという試みが多数行われております。 ここでは工学的な手法をベースとして医療に貢献する、いわゆるEngineering Based Medicineに関わる知識を体得したい方向けに私が今までに読んだ本のうち入門書から専門書まで幅広く紹介したいと思います。

1 人工臓器イラストレイティッド

循環系、代謝系、感覚系の治療に用いられている人工臓器についてまとめられた1冊です。この本にはたくさんの本物の人工臓器の写真が掲載されており、人工臓器の形や構造はもちろんどのような機能を発揮するのか理解しやすい工夫がなされています。さらに人工臓器の研究・開発過程もわかりやすく解説されており、過去の人工臓器研究に携わってきた研究者の努力も知ることができます。

2 組織工学 (再生医療叢書)

ヒトの耳が背中に生えているように見えるヌードマウスをテレビなどで見たことがありますか?この背中にヒトの耳を生やした"バカンティマウス"は、組織工学を用いて作製されました。 この図書では細胞を培養するための足場を使って人体組織を誘導し病気を治療する概念や近年注目されている細胞シート工学を使った治療方法などを中心に、細胞や培養人工組織を移植して治療する組織工学の現在までの研究について図も含めて分かりやすく解説されています。 組織工学の概念とこれまで研究成果について丁寧に解説されていますので、細胞組織工学やバイオマテリアルの研究を始めたばかりの方がこれらの知識を体系的に身につけるにはピッタリの一冊です。

3 生体機能材料学―人工臓器・組織工学・再生医療の基礎 (バイオテクノロジー教科書シリーズ)

タイトルにあるようにこの図書は人工臓器・組織工学・再生医療において生体の機能を代替する材料と細胞・臓器との相互の関わり合いが材料と生物学の見地から詳しく解説されています。 基礎的な生物学・ライフサイエンスも所々紹介されており、初学者の方でも楽しみながらバイオマテリアルについて学ぶことができると思います。