わくわくするような未知の知との出会い

心理学に興味のある人向け 子どもの心に寄り添う入門

2015-07-26 23:32:27 +0900 written by 石山 英美子

最近の子どもたちはなにかおかしい、あまりにも幼い、という報道を少なからず目にしたことはあるでしょう。果たして、その時子どもたちの心の中では何が起こっているのでしょうか。この本棚は、心理学に興味があり、児童臨床心理学の基礎としたい方、もしくは子どもの心の動きを知ることで援助に役立てたい方向けです。なるべく現場に近い5冊を集めましたが、前半の3冊は一般向け、後半は専門的な知識がある程度必要な2冊になっています。

1 フツーの子の思春期―心理療法の現場から

この本は、高校3年生の時に大学のオープンキャンパスでおすすめされて初めて読みました。実際に、子どもたちがどのような状態像を示しているのか把握するのにぴったりな1冊であり、5冊の中では最初に読むことをおすすめします。特に、1章はなぜ子どもたちが暴走してしまうのか、大人との関係性の視点から論じられており、この本棚のポイントでもあるので注目して呼読んでみてください。

2 日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか (光文社新書)

本のおすすめ度:4.2

児童分野に関わらず、どの世代においても注目されている「自尊感情」というキーワードが、1章を使って丁寧に説明されています。大学1年生の時に基礎ゼミの先生におすすめされて読みましたが、大学院生になった今でも重宝している1冊です。診察・学校現場での事例のみならず、筆者自身が行った大規模調査のデータも示されており、豊富なエビデンスに基づいた子どもたちの現状が記されています。

3 ちゃんと泣ける子に育てよう 親には子どもの感情を育てる義務がある

この本は、子育てをしている保護者向けの本ですが、子ども達の感情はどのように育つのかということが丁寧に記載されている本ですので、援助者になりたいと考えている方はもちろんのこと、親になりたいと願うすべての方におすすめの1冊です。少し専門的な用語も出てきますが、1~4章までは、創作の対話形式で書かれていますので、説明を聞いているような感覚で読み進めることができます。「ちゃんと泣ける子に育てる」ことがなぜ大切なのかということを、本書を通してぜひつかみとってほしいと思います。

4 傷つけ傷つく青少年の心―関係性の病理 発達臨床心理学的考察 (シリーズ荒れる青少年の心)

「シリーズ 荒れる青少年の心」の中の1冊です。10年前の現状をとらえた1冊ですので、若干古い概念なども含まれていますが、関係性の病理についてメカニズムから対応まで、わかりやすくまとまっています。事例やコラムを交え、具体的なテーマについて多く盛り込まれていますが、専門用語が含まれてくるのである程度勉強してから読むことをおすすめします。

5 子どもの感情コントロールと心理臨床

『ちゃんと泣ける子に育てよう』と同じ著者の1冊で、子どもたちの感情制御についてより専門的に解説されています。心の傷を脳機能の問題と関連づけて説明されている点が特徴的であり、子育てにおける問題や困難が整理されてクリアに見えてきます。また、エコシステミックに問題を見立てる枠組みというのが5章に出てきますが、実際に起こっているどんな問題にも応用可能で、すぐに役立つ方法論を学ぶことができます。