重度心臓疾患を救う、機械仕掛けの人工心臓

2018-04-30 18:29:09 +0900 written by 一生 橋本

現在、世界中で心臓移植を待つ患者の数からすると、心臓を提供するドナーの数は全く足りていません。この問題を一体どうやって解決するのでしょうか?もちろん、ドナーの数を増やすわけにはいきません。また、iPS細胞などバイオテクノロジーが注目される昨今ですが、その実用はもう少し先になりそうです。ここでは、現在の重度心疾患治療の実態と、その中で人工心臓がどのような位置づけであるか現状を知ってもらえる3冊をチョイスしました。人工心臓を簡単に説明すると、心臓の代わりに血液を循環させるための機械のポンプです。体外のデバイスに血液を引き出して循環させるものもありますが、ここでは患者がベッドに拘束されない、埋込み型人工心臓を中心に紹介します。心臓疾患治療や人工心臓の研究開発や普及に興味がある人が主な対象です。ですが、こういったテクノロジーで救われる命があると知ってもらえるだけでも幸いです。また、自分や家族、親しい友人が心疾患になったときに、助かるためには人工心臓しか選択肢がないとしたら(高確率でそうなるでしょう)、その事実を受け入れられるか、ぜひ真剣に考えてみてください。

1 重症心不全の治療―補助循環・人工心臓・再生医療の実際

まず、この本は重度心疾患に対してどのような治療アプローチがなされてきたのかが書かれています。A:総論では現在使われている、または過去に使われていた心疾患の治療デバイスを紹介しています。B:各論では心疾患の医学的な機序や治療アプローチが書かれています。B(各論)→A(総論)という形で読んだ方が、医学に馴染みのない方は理解が深まるかもしれません。また、各論の最後の方では、再生治療の現在(2010年時点)の進み具合も書いてあるので、デバイスとバイオテクノロジーの対比もでき、全体を俯瞰するのにお勧めできる一冊です。

2 最新 人工心肺[第四版] -理論と実際-

この本は、人工心肺にフォーカスした本です。人工心肺という呼び方は人工心臓よりも広範なデバイスを指します。例えば、血液循環、肺機能などを補助または代替するデバイスが紹介されています。また、小児への適応や、人工心肺の一般的な問題点にも触れられており、理論だけでなく実際の使用において様々な問題点に関しても書かれています。より専門的に、デバイスによる心疾患またはその類似例にアプローチすればいいか理解するのに良い一冊です。

3 実践! 補助人工心臓治療チームマスターガイド

現在心臓移植に代替する治療の最有力候補としての植込型人工心臓について、メディカル、コメディカルに向けて書かれた本です。特に実際の臨床現場に視点が置かれており、医師、看護師、患者、家族それぞれが治療にどう取り組めば良いか指針が書かれています。特に、在宅治療するための条件や、社会復帰のための周囲の補助の在り方など、生の現場を知ることができます。こういう方がいることを知ってほしいですし、もしこういった患者さんのデバイストラブルを目にしたときにどうしたら良いか考えるきっかけにもなると思います。開発する方に関しては臨床をより身近に感じ、最善のデバイスの姿を考えるために必読の一冊となると思います。

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