知られざる魅惑の国・スイス研究<入門編ー歴史と言語>

2017-12-14 21:52:58 +0900 written by 碧 藤井

やたらと国際機関がある?物価高そう?ハイジに会える? 確かな存在感で私たちを魅了する国、スイス連邦について紐解きたいあなたに!まずは<歴史>と<言語>の観点からスイスの魅力を知ってもらうための本棚です。周辺の典型的な「国民国家」とは違い、複数の連邦から成立したスイスは、言語的にも、文化的にも、まさにパッチワーク状態。それゆえ国内の調和と、国外からの干渉に常に向き合ってきた歴史は注目に値します。

1 スイスの歴史ガイド

スイス人向け「スイスの説明書」に、待望の和訳! 親しみやすいイラストと、的確なイメージ使いでスイスの歴史を理解できます。留学中には、親子でこの本を呼んでいるというスイス人家族にいくつも出会いました。研究書としては何よりも「スイス人が見た、それでいてスイス人に知られていないスイス」が描かれている点が注目に値します。各言語バージョンもあるので、和訳で一読したら原文もぜひ。

2 物語 スイスの歴史―知恵ある孤高の小国 (中公新書)

ウェストファリア条約で連邦国家として誕生したスイス。 第一次世界大戦で、隣国の板ばさみになったスイス。 戦後国際秩序の中心的位置にいながら中立を守り抜くスイス。 前掲書でつかんだスイスのイメージを、しっかり歴史学の観点から学習できます。歴史を見ずしてスイスの魅力は語れない!ただの新書ではなく、がっつりしっかり、でもすっきり読めるスイス研究の入門としておすすめです。

3 もう一つのスイス史―独語圏・仏語圏の間の深い溝 (刀水歴史全書)

スイスの歴史は、スイスが多言語国家であることの理解なくして語れません。スイスには4つの国語があるのですが、地域ごとに異なる公用語が指定されています。そして、”地域と地域の間”すなわち”言語と言語の間”で熾烈な戦いが繰り広げられてきたのです。戦火を交えた言語戦争はなかったものの、政治的対立の根源はこの「言語の溝(Röstigraben)」によると提唱したジャーナリストの、渾身の一冊!

4 アルプス文化史―越境・交流・生成

スイスが言語的にも文化的にも周辺地域の影響を受け、パッチワークのように存在していることを理解したならースイスだけでなく、北イタリアや南フランスを含む「アルプス地域」として切り取ってみましょう。歴史だけでなく、経済・政治・社会のありとあらゆる面からこの地域を捉えなおすきっかけになること間違いなし!個人的に興味深かったのは、事実上の「国境」を超えて形成される多文化の様相と、それでも「国境」で隔てられた括弧たるナショナリズムの衝突がこの地域に見られたという穐山先生の論考。

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