その歴史は「正しい」のか?歴史の物語論研究の世界

2017-11-18 10:22:08 +0900 written by 信吾 佐藤

「年号や出来事を暗記するのが歴史の勉強である」とか、「いや、暗記だけじゃない、論理だてて説明できるようにするのが歴史の勉強である」といった言葉は多くの人が一度は耳にしたことがあると思います。しかし、私たちの考える「正しい歴史」はどのように構築されてきたのでしょう?例えば、なぜ「関ケ原の戦い」は覚えなければならないのに、徳川家康が食べた朝ご飯は覚えなくてもいいのでしょうか?なぜ会ったこともない「源義経」はいると日本中の人が断言できるのでしょうか?歴史というと、国際問題をややこしくするネガティブなものと捉えられたり、暗記ゲームと思われたりします。しかし、色眼鏡をはずして、社会学や哲学、そして歴史学自身の歴史へのチャレンジをお楽しみください。

1 映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 [DVD]

社会学の重要映画の一つであり、ノスタルジアを理解する上でとても勉強になる作品です。 歴史は美しい。輝かしい。その世界観を壊すものの存在にも意味がある傑作です。

2 歴史を哲学する――七日間の集中講義 (岩波現代文庫)

歴史哲学という分野の入門書としては一番いいと思います。歴史哲学はあまり馴染みがないかもしれませんが、そもそも教科書の歴史、直線的歴史に慣れていると目から鱗だと思います。歴史が好きな人も、その「歴史」の意味を問い直してみてください。

3 歴史とは何か (岩波新書)

「歴史とは歴史家と事実との相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのであります」 この名文句だけで読む価値がある古典的名作です。すべての歴史には現代的解釈が介在するのであり、歴史的事実とは何なのかはこの作品以後、より不明瞭になっていきます。

4 史学概論

20世紀を通じて、言語論的転回(linguistic turn)や歴史の物語論によって批判に晒され続けてきた歴史学の反抗です。遅塚先生はこの作品を完成されてまもなく亡くなってしまいます。まさに、集大成の著作です。 生半可な気持ちでは太刀打ちできませんが、日本語で戦う最後の一冊にどうぞ。ちなみに、『歴史を哲学する』は、この本への再反論書としての位置付けもあります。

5 メタヒストリー――一九世紀ヨーロッパにおける歴史的想像力

一方で、歴史学批判の代表的な文献としてはこれを挙げておきたいと思います。歴史叙述には筋書き(emplotment)があることを明らかにし、その分類訳文を提示した画期的な一冊です。客観的な歴史叙述はあり得るのか。「歴史修正主義」など、歴史認識について対立が深刻化している今こそ、問い直されるべき論点だと思います。

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