古代人の暮らしと社会に迫るー考古学入門

2017-01-15 21:41:52 +0900 written by 荒 友里子

エジプトのピラミッドや南米のインカ帝国など、メディアで扱われることも多い考古学。どのような方法や理論で年代を決定したり、古代の人々の暮らしを描いているのでしょうか。この本棚では考古学の研究手法や理論の入門書としてふさわしく、また読み物として面白く読めるものをご紹介します。

1 考古学入門

私が考古学を始めたとき、面白いと思える考古学の入門書に出会えず、義務感のみで指定されたものを読んでいました。本書を知ったのは大学院生になってからで、学部1年の時にこの本に出会ってたらもっとわくわくしながら勉強できただろうと思います。入門書としておすすめする理由は、①入門に的確な項目立て。特に第1章の「考古学の範囲」は考古学ってどんな学問?と思ったらパッと読めるので便利②各項を手短に、面白い事例を用いてわかりやすく説明している③世界と日本の事例を両方扱っているという点です。当本棚1番の本は量が多いので、まずはこちらから読むといいかもしれません。古い本ですが、そう感じさせのは発掘・整理器材で何を使うかぐらいなので、本書の価値は不変です。

2 考古学を知る事典

「日本の」考古学を、先土器(旧石器)時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代知る事典です。 私は中央アジアやロシアの考古学を専門としているので、縄文時代や弥生時代の研究に精通しているわけではありません。しかし日本人である以上、日本考古学の特徴と論点をある程度知っていないといけないので、網羅的に日本の事例を扱った書籍は重宝します。 本書は時代ごとにどのような遺跡があって、その時代の人々の衣食住について各項短く記しており、とても読みやすいです。日本の考古学については、通時的なシリーズや時代ごと、テーマ別の書籍がかなり充実しているので、本書を読んで気になるテーマが見つかった方はお好みの本を探してみてください。

3 考古学―理論・方法・実践

考古学界の重鎮 Colin Renfrewが、その広く深い考古学的知識を披瀝する考古学概説本の決定版日本語訳。 タイトルのとおり、考古学の方法、理論、実践(事例)が一冊の本になっており、考古学が扱うテーマ、そしてそれを解明するための方法や理論を網羅的にわかりやすく解説しています。 刻々と最新技術が取り入れられる考古学研究に対応するため、英語版は何年かおきに改訂されており、現在最新は2012年版。 単に読み物として面白いですが、特定の研究方法や理論を調べたい時に辞書的な使い方もできるため、学部生時代のレポートでは大変お世話になったし、今でも参照します。各項目には"さらに知りたい人のために”参考文献がついており、知識を深めたい人はぜひ活用してください。