オペラ史入門(音楽編)〜オペラの誕生から現代まで

2015-07-10 17:54:30 +0900 written by 大矢 未来

オペラはいつ、どこで誕生し、そしてどんな発展を遂げ、今日に至るのか。この本棚からは、オペラ史の大まかな流れから作曲家の生の声まで、音楽史の中から様々な分野へと広がるオペラの一面を知ることが出来ます。

1 オペラの運命―十九世紀を魅了した「一夜の夢」 (中公新書)

本のおすすめ度:4.4

19世紀を中心にオペラの盛者必衰をドラマティックに描く。社会との結びつきが重視されており、読んでいくうちに音楽以外の様々な分野との繋がりも見えてくる。オペラ史入門に最適の一冊。

2 オペラの誕生 (平凡社ライブラリー)

オペラ前史から18世紀のモーツァルト登場までに主眼を置 く。「オペラがオペラになるまで」が初学者 にもわかりやすく書かれる。『オペラの運命』とあわせれば、オペラ史の大まかな流れをおさえることが出来る。

3 モーツァルト 魔笛 (名作オペラブックス)

本のおすすめ度:4.7

ドイツの出版社Rowoltによるrororo Opernbücherシリーズの邦訳「名作オペラブックス」。ここではモーツァルトの《魔笛》を紹介。同シリーズでは、他にも主要な作品を多く取り扱う。オペラ台本(リブレット)の 対訳・作者の書簡・原作・有名論文・エッセイ・年表・デ ィスコグラフィーなどをまとめたもの。特定の作品について研究・勉強を始める際、おさえておきたい基本情報が得られる。

4 モーツァルト 魔笛 (オペラ対訳ライブラリー)

専門家による逐語訳シリーズ「オペラ対訳ライブラリー」。「名作オペラブックス」に比べ新しい訳が使われ、原文と日本語訳が一行ごとに対応しているため、語学の勉強にも利用できる。「名作オペラブックス」では取り上げられていない作品も取り扱われている。これから特定の作品を勉強・研究・鑑賞する際は『名作オペラブックス』と合わせて読みたい。

5 リヒャルト・シュトラウス ホーフマンスタール、往復書簡全集

ドイツの作曲家シュトラウスとオーストリアの作家ホフマ ンスタールの書簡。 共同作業や同時代のオペラをめぐって 交わされた言葉の数々は一つのオペラ論ともいえる。1900-1920年代までの時代を代表する芸術家の生きた証言として数多の論文で引用される。また書簡という文体は読みやすく、専門家でなくとも楽しめる。

6

2010年代初頭までのオペラに関する比較的新しい視点と研究状況をまとめたもので、研究入門に重要な一冊。ドラマトゥルギーや観客と劇場の問題などの社会学的な見方の他に、メディア、ジェンダー、テクノロジー、マネージメントに至るまで、広範囲にわたる研究をカバーする。参考文献のリストが詳しく、ここから次読む文献を選ぶのもおすすめ。

7 オペラの20世紀: 夢のまた夢へ

後期ロマン派の終焉とともにオペラは死んだ、という言説に対するアンチテーゼになっており、二十世紀の膨大な数のオペラを紹介している。近年、欧米を中心に二十世紀から現代までのオペラとそれに関する現象を扱った論文は多いが、日本語で読めるものはまだまだ少ない。 「オペラの誕生」「オペラの運命」を読んだら、ぜひこの本にも挑戦し、そして様々な映像や劇場へ足を運ぶことを通じて「オペラ」という舞台芸術の幅広さを楽しんでほしい。 音楽史として、アレックス・ロス「20世紀の音楽」も合わせて読みたい。