わくわくするような未知の知との出会い

経営学に興味のある方が全体像を一気に知るために読むとよい本たち

2016-05-19 01:22:08 +0900 written by 新村 和大

今日では企業活動が多岐にわたるため、経営学の裾野は非常に幅広くなっています。例えばMBAで経営学を学ぶと、必修科目だけで以下のような科目で単位を取得する必要があります。経営戦略論、経営環境、組織論、会計、財務、マーケティング、オペレーション…。大変です。そこで、この本棚では、初学者が経営学の全体像を把握できるような書籍を、主に経営戦略論の領域からご紹介します。できるだけ、読みやすそうな順番に並べてみました。この5冊を読み通せば、経営学の裾野が見通せるようになると思います。

1 経営戦略論入門: 経営学の誕生から新・日本型経営まで (PHPビジネス新書)

最初の一冊ということでおススメするなら、この本。新書なので薄く、頑張れば2、3日で読めるのではないかと思います。でも、中身が薄いということはありません。著者は元マッキンゼーの有名コンサルタントで、著書も非常に多く、この一冊に内容をぎゅっと圧縮した感じです。経営戦略論と歴史的な展開と理論的な整理、最近の経営テーマまで抑えた良書です。経営戦略論の骨組みを知るのに十分な一冊です。同じ著者の作品で、2016年1月に出版された「経営戦略概論」は、この本の内容をより深掘りしていますので、そちらもおススメです。

2 経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

戦略論の歴史をまとめた一冊。この本は分厚いですが、すごく読みやすい本なので、初学者にもおススメです。筆者は元BCGの戦略コンサルタントで、現在は大学教授をされています。経営学は時代ごとに様々な学者・コンサルタントが理論を提唱するのですが、それぞれの理論について全体を網羅しつつ、少しずつ解りやすく解説しています。マンガや写真、図表も多く、ところどころに学者同士の架空の対談が載っていたりして、飽きさせません。筆者が元コンサルタントであることもあってか、かなりマニアックな内容まで踏み込まれた記載になっています。本書は、「ベスト経営書2013」で第1位を、また「ビジネス書大賞2014経営書部門」で大賞をそれぞれ受賞しています。

3 経営戦略の巨人たち―企業経営を革新した知の攻防

戦略論といわれるジャンルがどのように発展してきたか、経営コンサルタントや経営学者の活躍を物語的に描いた本です。経営コンサルティング自体はもっと以前から存在するのですが、1960年代になって、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)というコンサルティングファームが、「戦略」という商品を顧客企業に販売しはじめます。この商品のコンセプトがいかに鮮やかなものであったのか、ということが様々なエピソードと共に語られます。特に前半で語られる「ヒット商品」PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の威力が、当時、いかに大きかったか!また、BCGが販売した戦略という商品は、実は当時の日本企業の研究から生まれたものでもありました。このあたりのストーリーも興味深いです。

4 世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

この本はタイトルの通り、世界の経営学者の間では今、何がイシューになっているのか、をまとめた本です。実はMBAで習うのは、経営学者が過去に発表した論文をかなり解りやすいフレームワークに整理したものが多く、最新の学説ではありません。また、研究自体も、直接、経営に役立つ内容ではないことがあります。例えば、戦略論でよく名前がでるポーターの理論は1980年代に提唱されたもので、今でも必ずMBAの授業では取り上げられますが、最新の理論ではないのです。この本では、経営学者が近年に取り扱っているアカデミックなテーマをいくつか取り上げて解りやすく解説しています。例えば、企業の継続的な発展に必要な「両利きの経営」とは?、世界で活躍するベンチャーを育てる「超国家コミュニティ」とは?というような刺激的なテーマが扱われています。経営学の最近の動向を知りたい方におススメの一冊です。2015年に同じ著者の「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」も出版されており、こちらも続編としておススメです。

5 戦略サファリ 第2版 -戦略マネジメント・コンプリート・ガイドブック

おまけの一冊です。私が一番好きな戦略理論の解説書ですが、はっきり言って素人にはおススメできません。著者はミンツバーグという著名な経営学者です。経営戦略理論の全体像を説明するのですが、ほとんど禅問答のような内容になっています。普通の戦略本に物足りない方には、是非。