わくわくするような未知の知との出会い

木材の新たな可能性!酵素を使ったバイオマス研究の基礎が分かる

2016-05-19 00:15:27 +0900 written by 石田 光南

エネルギーの枯渇が懸念されている近年、代替エネルギーとしての木材利用が注目を集めています。木材をエネルギーとして利用するには「燃やす」「熱で気化させる」「発酵させる」の3つの方法があります。この本棚は、3つ目の方法について知るための本を揃えています。この分野を初めて学ぶ人のために、「木とキノコの関係」や「酵素とはなにか」を1から学べる本を選びました。最初の2冊が入門、次の2冊が概論、最後の1冊が各論という位置づけです。生命科学を学んでいる方は後半2冊が適しています。

1 (きのこファンのための)はじめての菌類学 (1)

枯れてしまった樹木が分解されていくのはキノコのおかげだという話を聞いたことはありますか?実は木材はとても分解しにくく、エネルギーとして利用するためにはキノコの力を借りて処理しなければなりません。そのため、まずはキノコについてよく知る必要があります。とても平易な文章で書かれており、すぐに読める分量です。内容についてもきちんと菌類学全体が抑えられているので、入門にはうってつけです。覚えることは少ないので、ざっと流し読む程度で構いません。

2 酵素反応のしくみ―現代化学の最大の謎をさぐる (ブルーバックス)

酵素と聞くと「健康食品?」と思う方が多いかと思いますが、酵素は洗濯用洗剤や医薬品などにも幅広く利用されています。この本では化学の基礎から復習できるとともに、酵素の構造や作用メカニズムのあらましを身に付けることが出来ます。数式などはほとんど出てこないので、イメージから酵素をとらえるには最適です。

3 ヴォート基礎生化学(第4版)

少し踏み込んで、この本の12章では酵素反応速度論という分野について学ぶことが出来ます。また、木材を構成する「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」という繊維はすべて糖からできています。本書の8章には糖の知識が集約されているので、読んでおくと後の理解の助けになります。この本自体は生化学を扱っているので、関係のある分野だけ読めばよいと思います。

4 タンパク質工学の基礎 (応用生命科学シリーズ)

酵素はタンパク質からなり、求める機能を持たせるにはタンパク質をいじるという方法があります。この学問分野をタンパク質工学といいます。タンパク質工学の基礎から応用まで書かれているので1冊で分野の全景がつかめます。ミクロなものを扱っているので、実際に自分で実験してみないと「そういうもの」と受け入れるしかないのですが、本書では実験の方法や理論が丁寧に書かれているので捉えすいです。筆者の大学の講義もこの本をベースに作られています。

5 木質の形成 第2版 -バイオマス科学への招待-

やっと木材について学ぶときが来ました。この本では木材の構造と生合成について詳述されています。バイオマス研究の立場で読み進めるのであれば、構造の部分を知ると良いと思います。この分野を学んでいても、各論的な内容は未知のことが多いので、手のつく範囲を読みましょう。ここまで来たら、木材のことは語れます。