人生百年時代の教養:独学に戦略が必要なのは「時間とインプット方針」が重要だから

平均的な大人が一分間に読める文字数を知っていますか? 特に働きながら独学している人にとってタイムマネジメントは非常に重要です。加えて、戦略的に読むなら乱読はNG。あなたはなんのために何を学びますか?

この連載について

知の見取り図は「何かを学びたいと思ったとき、その一歩目になる場所」を目指しています。とりわけ信頼できる学知においてそうです。しかし、知の見取り図を使うときは多くの場合が教養を身につけるための独学になると思います。人に教えてもらえるような環境とは違う中で、何をどんな風に学んでいくのか。そんな「独学」についての連載【人生百年時代の独学の価値と方法】をしていくことにしました。

この連載の初期は山口周さんの「独学の技法」という本を下敷きにしていきます。2017年11月に出たばかりの本であること、またその内容が一般的な独学の本よりもはるかに構造化されていることが理由です。連載の続きを待っていられないという方は是非書籍を購入して読んでみてください。

連載:人生百年時代の独学の価値と方法
vol.1なぜ今独学なのか? 4つの社会的要因から独学と教養の価値を考えよう
vol.2 あなたは独学に必要な4つの視座を持っているか:戦略、インプット、抽象化、ストック vol.3人生百年時代の教養:独学に戦略が必要なのは「時間とインプット方針」が重要だから
vol.4教養を身につけるための独学におけるインプットの重要性
vol.5独学の肝は、学んだ知識を「抽象化」して「異文脈適用」させるところにある

 

独学に戦略が必要な理由

人生百年時代のキャリアを考えるに当って、学びに終わりが無いことは明確です。会社に務め始めたからといってそれ以降のインプットを会社にのみ頼っていては、激動の時代の中で自分の人生に舵を取ることは難しいでしょう。

とはいえ、独学をするためにただ闇雲に本屋に行って目についた本を片っ端から読むというのは贅沢でありながら実現困難な上に効果が低い可能性があります。それが出来たら良いのですが、例えば仕事をしていたり既に自分の専門を持って学んでいる人にとっては独学はあくまでサブ的なインプット。

1年に読める本はせいぜい25冊(月に2冊以上)から50冊(月に4冊以上)だと考えると「何を読むべきか」は非常に重要なポイントであることは間違いありません。どのように時間を捻出するかはここでは触れませんが、何を読むべきかを考えるための方法について述べていきます。

インプットに方針をつけよう:ジャンルよりテーマが大事

まず重要なのは、自分がどういったことを学びたいのかを認識することです。例えばよく聞くのが「心理学を学びたい」とか「哲学を学びたい」という人です。これは典型的にジャンルを意識した姿勢です。もちろん間違ってはいないし学生時代は基本的にこのように学んできたので不思議は無いのですが、実はもっとよい考え方があります。

それは、自分のテーマを考えるということです。例えばマーケティングを担当している人が「どんな広告を作れば人はもっと感情が揺さぶられるのか」を知りたいと思ったとしましょう(そしてそれゆえに、心理学を学びたいと考えたかもしれません)。少し大きく取ってみれば「人が心を揺さぶられるのはどんなものに触れたときか」と考えることが出来るかもしれません。

そうすると、俄然領域は広くなってきます。例えば小説や映画の作り方はどうでしょうか。毎年何百万人もの人を泣かせるような名作を作り続けているディズニーやピクサーは一体どうやってシナリオをつくっているのでしょうか。心理学ではなく文学の物語論と言われる分野で、このような研究がされています。

また、人が心を揺さぶられる方法の1つはスピーチです。キング牧師のI have a dreamなどは世代を越えて語り継がれています。政治的なイデオロギーやアイディアを人に広める方法は、この人にとって学びの多いものではないでしょうか。戦争のためのプロパガンダ、人を戦争に駆り立てていった当時のラジオや新聞が使っていた言葉などを調べるのも面白いでしょう。

こうして考えてみれば、この人が本当に知りたいテーマは心理学に限ったものではありません。ジャンルに縛られずに、自分が知りたいテーマは何かを考えてみることをオススメします。

独学は自分の価値を高めるプロデュース

知りたいテーマを考えるということは、同時に「自分が何を知っている人間になりたいか」を考えることでもあります。これはまさに、独学が自分の価値を高めるプロデュースとしての要素があることを端的に示しています。

あなたがなりたい人間、出来るようになりたいこと、人よりも優れた部分を持つこと、ユニークな立ち位置を手に入れること、それらのために独学があるのです。要するに今いる場所で他のメンバーと同じインプットをしているだけでは、その中で独自性を発揮することは出来ません。

「自分ならでは」の価値とはなにか。それは掛け合わせに答えがあります。どんなことも、その分野の専門家には敵いません。また、敵う必要もありません。大事なのは周りの1000人くらいの中で自分にしかない組合せをもっていることです。先程の例で言うと、マーケティング×戦争広告、マーケティング×シナリオライティングなどはわかりやすい掛け合わせによる独自性の担保です。

この場では深く触れませんが、この掛け合わせのための要素が3つあると非常に強い人材になると言われています。次節で触れる「自分の持っているもの」に加えて、何をかけ合わせていくのか考えながら独学することも学びの気持ちよさの1つでしょう。

自分の持っているものをフル活用せよ

最後に重要なことですが、インプットの方針を考える上で大事なことは「全く新しい掛け合わせを0からつくっていこう」という考え方を捨てることです。つまり、「いまの自分×何か」を目指すためにインプットをすることが望ましいということです。

なぜならば、あなたが数年間(長ければ10年や20年)学んできたことというのは、紛れもなく重要な武器になるからです。いまいる場所だと周りの全員が出来ることなので自分の特技に気づけないかもしれませんが、他の場所に出てみたら自分にとっての常識が他の人にとっては天啓であるということもよくあるのです。

そういう意味で、これまで自分が培ってきたものを雑に扱ってはいけません。むしろその経験を活かして、それを展開していくイメージを持つことが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。独学というのは単に勢いでやるのではなくて、上記のようなことを十分に考えた上で自分の価値を高める戦略を立ててから行うとその意義が大きく高まります。もちろん自分の時間がたっぷりあって本を読む余裕がある人や、そもそも独自性やキャリアのための独学ではない場合、このような考え方は適用されません。

しかし、たとえキャリアのためではなくても自分の中にテーマを持つことというのは常に大事だろうと思います。読みふける中で自分の中に積み重なっていくもの。色んな分野を読んでいるうちに徐々に自分の中で仕上がってくる芯のようなものを見つけたら占めたもの。それはあなただけの豊かな知識を示しているのだと思います。

教養を広げよう、独学をしよう

新しいことを学ぶこと自体はそれだけで楽しいことです。しかも楽しいだけではなく、上記のようなポイントを抑えれば自分の人生にも価値を提供してくれます。こんなに素晴らしいことはあるでしょうか。何歳になったからといって学びが終わるわけではありません。

また、一つの分野を修めているからといって他の分野に手を出してはならない道理もありません。むしろ、自分の専門性を持った上で広く学ぶことがその掛け合わせによって新たな知を生み出すものです。人生を豊かにするような教養を身に着けていきましょう。

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知の見取り図:http://mitorizu.jp

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vol.1なぜ今独学なのか? 4つの社会的要因から独学と教養の価値を考えよう
vol.2 あなたは独学に必要な4つの視座を持っているか:戦略、インプット、抽象化、ストック vol.3人生百年時代の教養:独学に戦略が必要なのは「時間とインプット方針」が重要だから
vol.4教養を身につけるための独学におけるインプットの重要性
vol.5独学の肝は、学んだ知識を「抽象化」して「異文脈適用」させるところにある

 

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