なぜ今独学なのか? 4つの社会的要因から独学と教養の価値を考えよう

習った知識はまたたく間に古びて、新たな産業も10年で隆盛したと思えば滅びていく。それなのに人生は100年時代となれば時代の変化から逃げ切ることも出来ない。そんな中私達に出来ることは、学び続けることだけなのだ。

この連載について

知の見取り図は「何かを学びたいと思ったとき、その一歩目になる場所」を目指しています。とりわけ信頼できる学知においてそうです。しかし、知の見取り図を使うときは多くの場合が教養を身につけるための独学になると思います。人に教えてもらえるような環境とは違う中で、何をどんな風に学んでいくのか。そんな「独学」についての連載をしていくことにしました。

この連載の初期は山口周さんの「独学の技法」という本を下敷きにしていきます。2017年11月に出たばかりの本であること、またその内容が一般的な独学の本よりもはるかに構造化されていることが理由です。連載の続きを待っていられないという方は是非書籍を購入して読んでみてください。

連載:人生百年時代の独学の価値と方法
vol.1なぜ今独学なのか? 4つの社会的要因から独学と教養の価値を考えよう
vol.2 あなたは独学に必要な4つの視座を持っているか:戦略、インプット、抽象化、ストック vol.3人生百年時代の教養:独学に戦略が必要なのは「時間とインプット方針」が重要だから
vol.4教養を身につけるための独学におけるインプットの重要性
vol.5独学の肝は、学んだ知識を「抽象化」して「異文脈適用」させるところにある

 

独学のススメ

知の見取り図で何かを学びたいという方は独学になることが多いでしょう。教師や指導者がいない学びには効率が悪かったり変なところで躓いてしまったりといったデメリットも少なくありません。しかし、それと同じかそれ以上に大きなメリットがたくさんあります。

一番は、受験勉強などとは違って自分が学ぶべきだと感じたことを学びたい形で学べることです。誰に指示されることもなく、学びたいことを学ぶということは実に気持ちの良いことです。新しいことを知るワクワク感、世界の現象をいままでよりもクッキリと理解出来る満足感、そして学んだからこそ新たに見えてくる新しい不思議。

そんな楽しさをより多くの人が楽しみながら人生に活用出来たらそんなに良いことはありません。いま、単に楽しみのためだけではなく、教養を独学で身につけていくことがキャリアにおいても非常に価値があると言われるようになりました。今日はその4つの理由を紹介致します。

理由1.知識が急速に陳腐化する

これまでもずっとそうでしたが、情報や知識は加速度的にアップデートされています。学問の世界においても論文の算出数は例年右肩上がりです。学問的な知見は大学や高校などで教えられる内容の大元になっているわけですから、10年前20年前に学校で習ったことは今やもう間違い(あるいは時代遅れ)であることは少なくありません。

冷戦終了前に国際政治を学んだ人は、当時全盛期だったリアリズム(国家間関係を軍事力から読み取る)がその後多くの学説と競合するようになったことを知らないはずです。神経科学の発達が心理学に大きな影響を及ぼし、いまや心理学と神経科学の一部は完全に融合していることを当時の心理学生は知らないはずです。

そんな風にあらゆる知識が陳腐化し続ける中で、学び続けることや「学び続ける方法」を知っていることはとても価値のあることです。これが独学が重要な時代になった理由の1つです。

理由2.産業ごと無くなる時代

ニュースになったので聞いたことがある方も多いでしょう。30年後には今ある仕事の半分以上が無くなると言われる時代です。理由1と重なるところですが科学の急速な発達に伴って技術革新が(いまと同じように)次々に起こっていきます。その中で何か一つの産業の知識だけを持っているだけでは、急激な変化に耐えられない可能性があります。

新しい場所に移っていくにあたって幅広い知識を持っていたり、あるいは新しいことを学ぶ力が無いと生きていけない可能性があるのです。これは子どもから大人まで全員が危機意識を感じるべき重要な問題だと考えています。当然ながら「必要になってから」学ぶ暇などありません。常日頃から当然のように学び続けていくことが重要です。

理由3.人生100年時代のキャリア

最近政府が積極的に打ち出している構想-人生100年時代というコンセプトを聞いたことはあるでしょうか。平均寿命も健康寿命も伸びてきて、多くの人が100歳まで生きられるようになる時代がもうすぐ来るという予測です。60歳や65歳に退職して人生上がりではなく、70歳や75歳それ以上まで働き続けられる限りイキイキ働き続けようという政府からのメッセージが強く込められています。

これを高まる社会保障費対策として考えることも勿論出来ます。年金を65歳から支給するなんて無理なので少しでも働いて欲しいというのは事実でしょうが、何にせよ私たちは退職するまでに今まで想定されていたよりも長く働くことになります。しかし、ここで問題になるのが理由2で述べているような産業ごと消滅する可能性です。

それまで働いていた慣れ親しんでいた事業や企業で同じようなことをし続けるならばまだしも、新しいことを60歳になっても始める必要が出て来る可能性が十分にあります。知識は陳腐化され産業も消えうるのに現役時代は長引くのですから当然の結論ですよね。学び続けるスキルや能力は非常に重要になってきます。

理由4.越境力/越境人材が活きてくる

π型人材とかクロスオーバー人材だとか色んな言い方がされますが、要するに「2つ以上の専門性を持ち、それを結びつけるための幅広い知識や経験を持った人」が求められています。社会的な背景もそれゆえに事業もどんどん移り変わっていく中で、軸足を1本しか持っていないとグラグラと揺れ続けることになります。2本、3本と軸足が増えればどっしり構えることが出来ます。

専門性を深くしていくことは、目の前のことに一意専心に取り組む内に自然と行うことです。しかし、それだけでは幅広い知識は身につきません。働いたり学問的な専門を決めてからは相当意識しないと幅広い知識は身につかず、どんどん深く掘り続ける中で視野が狭くなり続けます。

独学で新しいことを貪欲に学んだり幅広い教養を積極的に獲得する人は、自分の専門性を深くしながらもそれを俯瞰的に捉える力も同時に持つことが出来ます。俯瞰的に捉えることで、その専門性を活かせる他の分野を見つけたり、コラボするべき他の人や知識を見つけることができるのです。

教養を広げよう、独学をしよう

教養を広げ世界を様々な角度から捉えることができるようになること。自分のいまの専門や立ち位置を他の視点から捉えなおして新しい価値を見つけること。それはとてもワクワクするし面白いことです。そして教養を広げるためには、自らが積極的に動かなくてはなりません。誰かから与えられるものではなく、自ら手を伸ばして足を運んで身につけるものが教養です。

この連載ではこれからその教養を身につけるための独学の方法論について記事にしていきます。是非これからの更新を楽しみにお待ち下さい。独学の必要性を知った次にやるべきことは1つ。それは独学の方法論を知り、行動に移すことです。

連載:人生百年時代の独学の価値と方法
vol.1なぜ今独学なのか? 4つの社会的要因から独学と教養の価値を考えよう
vol.2 あなたは独学に必要な4つの視座を持っているか:戦略、インプット、抽象化、ストック vol.3人生百年時代の教養:独学に戦略が必要なのは「時間とインプット方針」が重要だから
vol.4教養を身につけるための独学におけるインプットの重要性
vol.5独学の肝は、学んだ知識を「抽象化」して「異文脈適用」させるところにある

 

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