「役に立つ研究」とは -Ekkyo Session vol.10開催レポート-

境を越えて知をひらく、をテーマに活動する越境研究所が小さな交流会を開催しました。普段専門家同士で交流するのとは違い、まったく違う分野の人に自分の研究を説明するとどんなことが起こるのか。そんな交流会になりました。

概要

越境研究所は、理論物理から考古学まで多様な分野の研究者(含む大学院生)と共に【境を越えて、知をひらく】ことを目標に活動している団体です。今回は学振や奨学金、科研費などを獲得する際に使用した書類を資料として共有しながらそれぞれの研究のこと、その研究と社会との関係について分野を越えてディスカッションを行いました。

参加者と発表内容

参加したメンバーは、国立研究所で働く方から学部を早期卒業して飛び級するような形で海外大学院博士課程に進む方、博士まで進んだ上で企業に入り研究と実践の橋渡しをしている方など様々です。

発表内容については、書類の性質上あまり詳細を書くことは出来ませんが学問分野としては社会学、比較教育学、医療工学、化学工学など文理を越えて多様なものとなりました。

行われた議論

画像のように、スライドを使って研究内容を共有する方もいれば書類をベースに話す方もいましたが、そこで生まれたのが「発表方法」についての議論。

大雑把な括りであることを前提とした上で、一般的に理系(特に工学)はプレゼンの機会が多く、また自分の分野の専門家以外の人とも話すことが多いことが影響しているのか「わかりやすく自分の研究を伝える」ことが得意ではという意見が。

そこから文系と理系では研究室という概念にも大きな違いがあること、チームを組んでの研究というケースが理系ではよくあるものの文系では想定的にかなり少ないことなども見えてきました。普段自分がいる場所ではあまりに常識的であるためそれが自分たちの特徴であると気づかないようなことがたくさんあります。

分野が大きく違う人間同士で話すとき、「自分の研究の前提、背景、目的、方法、その分野における意義、社会的意義」などを整理した形で共有しないとクエスチョンマークが大量に出てくるだけで終わってしまいます。研究者が非専門家に話すとき、どのように話すことが出来るのか? これは異分野の研究者同士がどのように交流するとより良いのかという問いに還元できるかもしれません。

得られたこと

今回のekkyo sessionでは、普段なかなか関わらない分野が「自分の研究の社会的意義」についてどのように考えているのかをシェアする場-そしてそれを通して自分野の常識を相対化すること-として設定し、実際そのような観点から「えー! 全然わからない。なんで?」という相互のコメントが生まれました。

工学系にとっては当然とも言える社会への還元の姿勢、税金を使っているという資金の出処からくる説明責任は社会的意義を語る上で欠かせません。しかし、社会学や歴史学の分野においては「学問が役に立とうとするとき、それが優生学や歴史修正主義、あるいはホロコーストを生んだ」という負の遺産が存在している。

自然科学がこのような議論を免れるかといえばそんなことはなく、核爆弾は言うに及ばず毒ガスなどの兵器はまさにそれらの研究の発露にほかならない。といった、普段研究をしているとなかなか突っ込まれない部分について相互にコメントすることができました。

越境研究所の今後

越境研究所は「越境研究」「越境体験の場の創造」「越境的知見の外部提供」を行っています。関心のある方はぜひこちらのfacebookグループにご参加ください。今後の様々なイベント情報や新たなナレッジの共有などを行います。

また、直近では以下のイベントが準備されています。

1.6月30日 Ekkyo Session Vol.11 With Leave a Nest
日本未来科学館にて行われるキャリアディスカバリーフォーラムというイベントで「なぜ研究者はわかりあえないのか?(仮題)」というワークショップを行います。

2.7月29日 Ekkyo Session Vol.12
「異分野と協働するために必要なこととは?」をテーマにワークショップを行います。

詳細は近づき次第随時更新致しますので、ぜひこちらのfacebookグループにご参加下さい。

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