異分野コミュニケーションの場、学問分類の歴史 -Ekkyo Session vol.9開催レポート-

異分野の人と話して、新しい知識や発想の転換を手に入れたい。そんな人のためのekkyo session vol.9が4月21日東大にて開催されました。

『異分野に触れたい』そんな人のためのイベント

Ekkyo Sessionとは『境を越えて知をひらく』ことをコンセプトに活動する越境研究所が定期開催しているイベントです。異なる分野の知に触れて驚きと共に新たな知識を獲得すること、すなわち越境体験を生み出す場として開催されています。その特徴を3つにまとめていきます。

特徴1.参加者の、高く異なる専門性

1つは参加者がa.大学院生 b.修士号取得後同職種で勤務 c.博士号取得者に限定されているため、専門性の高い人が集まっているところ。更に今回のekkyo session vol.9では4割以上が社会人となっており、会計士やオープンイノベーションを専門とされている方も複数参加されました。

また、分野で言うと以下の専門を持った方々が参加されました(一部抜粋)
農村開発、生物物理学、開発経済学、発生学、看護学、社会心理学、情報工学、加速器科学、会計学etc

既に実務に就かれている方も多く、学問分野としても多彩で一定以上の専門性を持った参加者の皆さんが集まることで多様な越境体験の生まれる場になりました(イベント後アンケートの満足度は5点満点中4.6点)。

特徴2.越境研究の共有

そしてもう1つは、越境に関わる様々な研究に関わる知見の共有です。同研究所は、越境研究会を定期的に開催しており『オープンイノベーション』『共同研究マネジメント』『分野間の関係性、歴史的背景』『多職種連携』など境を越えた知に関する分野を越えた知を共有する場を設定しています。

経営学、科学社会学、科学計量学、組織心理学、キャリア理論、学習理論など学問分野にこだわらず『境を越えた知をひらく』ことに関する様々な知識を蓄積しており、そこで得られた知見をekkyo sessionでは随所に提供しています。

今回のsessionでは『文系と理系という分類はいつから始まったのか-その恣意的な性格-』『人文・社会・自然科学という分類の恣意性-アリストテレス、タレーラン、日本学術会議、細目表の分類-』『ギボンズのモード2サイエンス』といった、学問分類に関する歴史的な知識を主に共有致しました。

特徴3.初めての参加者の割合

また、これまで複数回開催しているにも関わらず常に初めて参加する方が多いのも特徴です。今回のsessionでは実に7割が初参加の方となっており、多様な分野のメンバーが常に新しく入ってくる理想的な状態になっています。

しかしながら決して満足度が低いからリピート率が低いわけではなく、当日の懇親会には想定を越えて参加者全員が参加してイベント終了後カフェで90分以上熱い会話が繰り広げられました。プログラムとは別に、自由に会話すると盛り上がるのもこういう場の良いところです。

敢えて偏見をぶつけ合い、それを解消していく

今回のイベントは、大きく3つのセッションに分かれていました。アイスブレイク、分類を意識したディスカッション、そして分類を無視した個別ネットワーキングの時間です。

1.アイスブレイク

最初のアイスブレイクには十分な時間を割いて、グループの距離を縮めます。トピックは『相手の分野に対する偏見をぶつけよう』というもの。看護学の人に対しては『医者の手伝いやってるの?』倫理学の人には『2000年前から同じこと考えてて楽しいの?』など、本心では思っていなくとも社会的に良く言われるような偏見を忌憚なくぶつけます。

そのような偏見は往々にして間違っていたり誤った認識に基づいていますが、その専門を持った人が近くにいないといつまでも間違った感覚を持ったままであることが多々あります。そこで、最初のアイスブレイクで敢えて面白おかしく偏見をぶつけ、それに対して『実はこうなんです』と返答をしてもらいながら異分野理解への契機を作っていきます。

2.分類を意識したディスカッション

続いて『文系v.s.理系』『人文v.s.社会v.s.自然』という2つのテーマでディスカッションをしてもらいます。最初にその分類についての自分なりの意見を簡単にまとめてもらった上で、その意見を共有します。

「正しい答えが1つに定まるのが理系では?」「必ずしも明快な答えを求めないのが人文?」「データや計算を用いると理系っぽい」「でも心理学や経済学も思いっきり統計を駆使しているよね」などなど、普段同じ分野の人と話していては中々話さないようなトピックで意見交換をしてもらいます。

今回のsessionの裏テーマは「分類とは恣意的なものであり、それに縛られて『あっち側』と『こっち側』を作るのは勿体無いことだ」というものでした。話している内に分類が実に恣意的な、人工的なものであることを感じる場面が多かったと思います。

3.1on1でのネットワーキング

分類など一つの枠に過ぎないという認識を持った上で、最後に参加者のみなさんが2人1組となって『共同研究の種』を考える時間を設けます。8分間を6セット行い、何かちょっとしたアイディアが浮かべば運営に持ってきてもらいそれをリアルタイムで可視化していきます。

もちろん良いアイディアが出るケースばかりではなく、相手の分野の話を聞けば聞くほど『全然わからん…』となるケースもありますし『面白い、もっと聞かせて!』と話が深まっていくケースもありました。ここでの目的は越境体験を生み出すことですから、そのような意味で大成功でした。

8分経って『さあ次のペアを探してください』と言ってもほとんどどのチームも話をやめずに話し続けるほど盛り上がり、非常に良い時間になりました(そして話し足りない人たちが懇親会へ)。

まとめ

今回も実に多様なメンバーが集まり、ほとんど初対面ばかりの中で分野を越えた交流が行われました。新しい知識を獲得し、知的好奇心が満たされる場を今後も開催していきます。

次回以降の活動

5月27日に、ekkyo session vol.10を開催します。こちらでは修士論文を執筆し終えた方のみが参加可能で、それぞれの分野のスタンダードな論文を共有しながら当該分野が持つ規範や背景などを対話を通して共有します。

6月30日には、ekkyo session vol.11としてキャリアディスカバリーフォーラムにて異分野コミュニケーションのワークショップを開催致します。

更に7月には、今回のekkyo sessionと同タイプのイベントを開催する予定です。

これらの情報はすべて越境研究所のfacebookページにて共有致しますので、是非フォローくださいませ。

主催団体、越境研究所

ekkyo sessionは、越境研究所主催、株式会社ちえもの(知の見取り図運営会社)後援で開催しております。越境研究所は『境を越えた知をひらく』をテーマに越境研究・越境体験の場の創造・越境知の外部提供を行っております。(株)ちえものは『知的好奇心に優しい社会を創る』をテーマに活動しております。

何か新しいことを学びたいのに、どの本をどんな順番で読んだらいいかわからない。そんなあなたは是非知の見取り図で様々な専門家がオススメする書籍を見てみてください。今回のsessionに参加された方々も本棚を作成してくださっています。倫理学から理論物理まで多様な分野に是非一歩目を踏み出してみてください。

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