国際協力を仕事にできる人、ボランティアで終わる人

国際協力に関心があり、ボランティア以外の方法を考えている方々にオススメのインタビュー。「国際協力がしたい、でも何をどうしたら良いかわからない」という人のために活動をされているThe Peace Front共同代表の相馬和実さんにお話を伺いました。

 

1.Vision:国際協力を仕事にできる人を増やす

-本日はどうぞよろしくお願いします。まずは簡単に組織の紹介をお願い致します。

私たちThe Peace Frontは「国際協力を仕事にする人を増やす」ことを目標に掲げて活動しています。国際協力と聞くと一般にボランティアのイメージが強いと思いますが、私達は経営力にフォーカスを当てて活動しています。

ボランティアを熱心にされる方などは想いが非常に強い反面、経営に関する部分であるファイナンス・戦略・組織論・PR・マーケティングなどには関心を持たない方が少なくありません。

しかし、実際に国際協力の現場で働かれている方々は口を揃えて「ボランティアではどうしても単発になってしまうので、継続可能な仕組みを作る力≒経営力が大事だ」と言います。

このギャップに気づけないために、せっかく学生時代熱心にボランティアをしていてもそれを仕事にすることができず夢半ばで企業に就職される方がほとんどです。

そのため、The Peace Frontでは国際協力に関する基礎知識を学ぶコミュニティを形成し海外スタディツアーを通して現場を見るだけでなく、普段の活動でも経営力を身につけるということを非常に重視しています。そうすることで、ボランティアではなく仕事として国際協力ができる人を増やせると考えています。

 

2.Passion:ボランティアをしても国際協力の仕事には就けない

-確かに国際協力と経営力というのは一般的には真逆のように捉えられる場面も少なくありません。相馬さんが経営力というキーワードに気づいたキッカケはなんだったのでしょうか。

私自身、大学2年生の終わりまで「ボランティアしかしていない」というくらい熱心に活動してきました。まさに皆さんがイメージするような街頭募金などもしていましたし、海外に赴いて住居建築のボランティアも行っていました。サークルの他のメンバーも熱心な方が多く、国際協力を仕事にしたいと考えている人も多くいました。

しかし、最終的には尊敬できる多くの先輩方は誰一人国際協力を仕事にできず、悲しく思うと共に驚きました。なぜあれだけ想いが強く実際に活動をしてきた人でもダメなのか。その理由を知るために、実際に国際協力を仕事にしている人に話を聞きに行くことを決意しました。

それから30名近い方々にお話を伺ったところ、NPOを継続的に支援してもらうためのPRや、頂いた寄付金を効果的に使うためのファイナンスや戦略力の重要性について多くの方が言及されていました。

それらをまとめた総称として経営力というキーワードに行き着いたのは、国内最大級のソーシャルビジネスを行っている企業の方から「私達が欲しい人材は、経営力のある人です」と断言されたときでした。それはボランティアをやっている人たちからは最も遠い言葉で、だから先輩方は国際協力を仕事にすることが出来なかったのだとやっと理解しました。

-経営力という言葉を知ったとき、自分の今までの経験が否定されたような気持ちにはなりませんでしたか? 

もちろんボランティアばかりひたすら二年間もやっていたので、かなりショックでした。しかし、自分の活動を正当化しても仕方ない。あくまで世界のために価値が有ることをしたい。そこからは経営力を身につけるために何ができるか考えるようになりました。何といっても「実際に働いている方々の言葉」ですから、それは私にとってとても重く響きました。

また、環境の変化も大きかったです。その頃友人に誘われて経営に関する勉強会に参加する機会がありました。そこで経営コンサルの方のセミナーを受けながら「これこそ自分が得たい力だ!」と確信したことも大きかったです。何を学ぶべきかがわかったタイミングで、どう学んだらいいかがわかったので迷いなく突き進むことが出来ました。

 

-新しいことを学ぶ上で環境は重要ですよね。The Peace Frontさんがコミュニティを形成しようとしている理由もそこにあるはず。ところで、そもそもボランティアや国際協力に深く取り組むようになったキッカケというのはあったんでしょうか。相馬さんを衝き動かす原動力はなんですか?

始まりは小学校に遡ります。普通の公立学校だったのですが、ある日なぜか隣の席に英語とネパール語しか話せない男の子が転校してきたんです。隣の席だからよろしく頼むと先生にも言われ、日本語しか話せない自分にとっては大役を任せられました(笑)。

まずはネパールのことを知ろうとインターネットで調べてみた所、最初に出てきたのは児童労働や女性差別の問題などショッキングなものばかり。自分は寝て食べて遊んでといった豊かな生活をしていたのに、違う国に生まれただけで同い年であってもこんなに生活が違うんだと衝撃を受けました。

それ以来、何か自分にできることは無いかと長い間モヤモヤしていました。国際協力という言葉すら知らなかったので、高校時代はバイトをしては募金をするという生活をしていました。今思うと継続的な方法ではないものの、何かアクションをしたかったのだと思います。

それでも、自分が海外に行くということは全く視野に入っていませんでした。やりたいことはあるけれど、必要な能力もわからないし、自分に何ができるのかもわからない。気持ちだけが空回りしていました。あのときの気持ちが原動力となって、今The Peace Frontの活動をしているんだと思っています。

3.Acitivity:国際協力×経営の知識獲得とスタディツアー

-実際にThe Peace Frontさんではどのような活動をされているのでしょうか。

まず大きな企画としてあるのが海外でのスタディツアーです。ツアーのコンセプトは、実際に国際協力を「やりたい」から「やれる」に変えたプロの方々がどういう経緯でその仕事に就いたのか、その仕事のために必要な能力や知識というものはどういうものなのかを体験してもらいます。実際に自分たちの想いをカタチにするためのビジネスコンテストなども行います。

スタディツアーで訪れる団体は様々です。大学生時に立ち上げた団体をNPO法人化して15年間続けていらっしゃる組織、内定を蹴ってカンボジアで起業した女性、大学を中退して一般社団法人を立ち上げた男性、一度就職してからNPO法人を立ち上げた方、そしてもちろん政府関連の組織や活動にも訪問させていただきます。

-実際にツアーに参加された皆さんはどのように変わりますか?

実は国際協力に関わることを辞める方もいます。実際に現場を見て、働いている方々の話を聞いて自分がやりたいことは国際協力じゃないと気づくようなこともあるんです。

このスタディツアーでは活動中はもちろん事前事後研修を通して自分の過去や将来のことを真剣に考える時間をたくさん用意しています。自分が本当は何がしたいのか、それを考えるキッカケになるということですね。全ての人に国際協力をして欲しい! と思っているわけではありません。

 

-素晴らしいです。実際に行ってみたからこそ自分のやりたいことかどうかの判断ができるということですね。

実際、ツアーに参加された後に7-8割の方はThe Peace Frontのコミュニティに入られます。元々ツアーを単体で行うところから始めたのですが、せっかく興味を持ってくださった方々が更に学びを深める場がありませんでした。なので現在はこのコミュニティでの勉強会がツアーと同様非常に重要な活動になっています。

先程申し上げた通り、The Peace Frontでは国際協力の知識×経営力を身につけて国際協力を仕事にする人を増やすことを目的にしています。そこで、コミュニティの中では2つのことを行っています。

1つは国際協力と経営に関するインプットです。国際協力については、政府やNPOなど様々なセクターが行う活動やそのメリットとデメリットについて整理したり、実際の様々なケースを学んでいます。経営については、私が所属している経営系の団体の持つコンテンツを提供して頂き、また経営コンサルタントの方にも指導頂きながら学びを深めています。

もう1つはアウトプットです。経営で学んだことを実際に活用するため、それぞれのメンバーがやりたいことを実際に企画運営してもらっています。誰にどんな価値をどのように届けるのかを考えることは、そのままマーケティングや企画力と繋がっていきます。

また、企画運営することを通して「自分は何をしたいのか」を考えるキッカケにもなります。The Peace Frontでは国際協力と経営のインプットをしながら主体的に企画を立ち上げることを通して、

1.自分がやりたいことが何なのか
2.そのためにどんな能力が必要なのか
3.その能力をどうやって身につけたらいいのか

を全て同時に考えながら実行することができるんです。

-何人くらいの方が参加されているのですか?

全体で30名ほどが関わっていて、日曜と木曜にそれぞれ10名強が集まって勉強会を開催しています。社会人になるメンバーも多いですね。

また、それとは別に外部の方向けに4回連続講義というものをやっています。国際協力のこと、経営力の重要性、そしてThe Peace Frontの活動を知ってもらうことを通して、新たなメンバーが加わる機会も提供しています。

 

4.Shelf:国際協力を仕事にしたい人に読んで欲しい本

-さて、今回はThe Peace Frontさんに知の見取り図の本棚「国際協力を持続的に行っていきたい人は、まずこの2冊!」を作っていただきました。国際協力を仕事にしたい人に届けたい本棚ということですが、選書の紹介をお願い致します。

国際協力をやってみませんか? という会話形式の本がとにかく一番オススメです。国際協力についてボランティアしか知らない女の子に対して、宇宙船地球号の代表の山本さんが国際協力を仕事として行うための様々な方法や立場を体系的に伝えるという内容です。

2012年のものなので多少情報は古いですが、今でも十分に価値のある本です。いま世界のために何かボランティアをしていて、でもボランティア以上のことに将来トライしたいと考えている方に是非読んでもらいたいですね。

国際協力についての様々な関わり方を知っていただいた上で、次に読んでいただきたいのがこの本です。戦略を作ることの大事さ、協力者の増やし方などを学ぶための一冊です。経営力という言葉を理解するためにもオススメです。

この2冊には私達The Peace Frontが伝えたい内容がずばり書かれています。私は2年生の終わりにこれらを読んで大きく人生が変わりました。この本以上のことを知りたくなった方は、是非The Peace Frontにご連絡ください。

5.Message:国際協力への想いを諦めないで欲しい

-最後に読者の方にメッセージをお願いします。

諦めないで欲しい、それが全てです。国際協力をやりたいという、世界をよくしたいという想いを形にすることを諦めないで欲しい。世界をよくしたいと思っている人のその想いが、すべて体現できたらもっと早く世界は良くなると考えています。私の大学のサークルでとても尊敬していた先輩が国際協力の仕事に就けなかったとき、「おれの夢をお前に託す」と言われたことが悔しくて、今もずっと残っています。だって、その想いを叶えたかったのは私じゃない。想いを持った人が、それを体現しないと意味がない。

志があるのに頑張り方がわからなくて、そのせいで仕事にできないから夢半ばで諦めてしまう人たちをたくさん見てきました。国際協力に実際に関わっている方々200-300人の方にこれまで会ってきましたが、その中で国際協力と経営、お金や戦略の話をした時に実は真剣に取り組んでいる人ほど納得してくれることが多かったんです。自分たちが頑張って集めたお金、その使いみちまで考えているような人ほどその重要性が腑に落ちるんだと思います。

私は自分が学んできたことや理解したことを多くの人に届けたいと思っています。元々は自分自身がプレイヤーとして国際協力に携わりたいと思っていたのですが、いま私はやりたいことを仕事にできる人を増やすことに情熱を燃やしています。

 

-The Peace Frontさんの活動に共感する人、自分も関わってみたいという方も多いと思います。実際にどうやってコンタクトを取ったらよいでしょうか。

是非以下のリンクからラインで気軽にご連絡頂けたら嬉しいです。外部向けのイベントの情報なども共有させていただいています。一人でも多くの人が「国際協力を仕事にできる」ように応援していますので、どうぞよろしくお願いします。

-本当にありがとうございました。

 

6.Editor’s Note:結びに代えて

知の見取り図は「学びたいのに学び方がわからない、全ての人のためのwebサービス」を目指しています。その意味で、The Peace Frontさんの活動には非常に共感するところが多いです。

何か新しいことに取り組むときには、2つのハードルがあります。1つ目は「What:何をしたらいいのかわからない」というもの。2つ目は「How:まずどうしたらいいのかわからない」というものです。

国際協力に関心のある多くの方にとって、このインタビュー記事は何をするべきかについて一つの答えを提示するものになりました。そしてThe Peace Front様が作成くださった知の見取り図の本棚「国際協力を持続的に行っていきたい人は、まずこの2冊!」は、そのためにまずどう取り組めばいいのかを教えてくれるものになっています。

是非、ここから新しい学びを始めてみませんか? 知の見取り図では他にも幾つか国際協力に関わる本棚がございます。是非ご一読ください。

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