わくわくするような未知の知との出会い

途上国×障害、障害とはなにか

「異文化を知る、それはショックでありワクワクする瞬間」

今回のコラムは【“障害”とは?を多様な視点から考える】という本棚を作成いただいた久松さんに書いて頂きました。本棚だけでは伝わらない、本棚や専門領域への情熱や背景を覗いてみましょう。

【自己紹介】

こんにちは、久松祥子です。広島大学大学院 国際協力研究科で、バングラデシュの障害者について研究していました。専門は文化人類学です。今は、大阪のNPO法人で、知的障害者を支援する仕事をしています。

 

【文化人類学を知っていますか?】

 文化人類学とは、フィールドワークを行い、参与観察することで、異文化を知ることを目的とした学問です。異文化で生活する人々と寝食を共にし、彼らの言語を習得し、彼らと信頼関係を築くことで、初めて彼らの考えや、彼らを取り巻く社会的背景などを理解することができます。

 文化人類学は、経済成長の進んだ欧米諸国は優れており、遅れたアジア・アフリカ諸国は劣っているという、今でも根強く残る概念に対して異議を唱え、またその過去を反省し、特に開発途上国と呼ばれる地域を中心にフィールドワークを行ってきました。今では、開発途上国のみならず、マイノリティと呼ばれる人々、例えば日本に住むアイヌ民族、イスラム教徒、障害者、セクシャルマイノリティなど、調査対象は実に多様です。

 

【バングラデシュから障害を考える】

 私は幼少期にベトナムに住んでいた経験から、開発途上国の人々の生活に興味がありました。いくつかの国を見てきた中で、最も魅力的だったのがバングラデシュでした。イスラム教を信仰し、手でカレーを食べ、池や川で洗濯・沐浴をするといった、日本とは全く違う文化に触れるたび、「なぜ?」「どうして?」の連続でした。ひとつ、またひとつバングラデシュのことを知ることはショックを受けると同時に、ワクワクする瞬間でもありました。

 バングラデシュでは、多くの障害者を目にしました。彼らの中には、店を構え商売をしたり、学校に行って勉強したり、道端で物乞いをしたりと、実に多様な姿が見られました。日本で障害者を目にする機会が少なかった私は、バングラデシュの障害者がいきいきとたくましく、また彼らなりに生活しているように感じられました。バングラデシュの障害者は、貧困と差別に打ちひしがれていると想像していた私にとって、それは衝撃的でした。

 

【障害とは?】

障害者に対して、私自身「かわいそう」「なんとかしてあげたい」といった、慈悲や哀れみの感情が強いことに気づきました。それはなぜか。そもそも、障害者とは誰を指すのか。障害とは何を指すのか。そういったことに想いをめぐらせるようになりました。

私の本棚では、「障害とは何か?」について、あらゆる角度から問いかける本をチョイスしてみました。みなさんが知っている著名な本とともに、文化人類学の専門書もあわせて読んでみてはいかかでしょう。

久松さんの本棚を読む【“障害”とは?を多様な視点から考える