わくわくするような未知の知との出会い

大手メディアも語らない、日本の「集団的自衛権」の深層

2015-08-04 00:45:31 +0900written by 小山 森生

2014年7月1日、第二次安倍内閣により集団的自衛権を容認する閣議決定がなされ、2015年にはそれらを法制化する平和安全保障法制(安保法制)制定が始まりました。けれど、多くの人がその中身をつかみかねているのではないでしょうか。 この本棚の本たちは、そんな集団的自衛権行使容認を日本の戦後史に重ね合わせ、スリリングな閣議決定までのプロセスをあぶりだしてくれます。 吉田茂が生み出した戦後体制、内閣法制局が組み上げた憲法解釈、日本の安全保障政策の発展、そして第二次安倍内閣の登場―。1945年から日本の戦後を動かしてきたものとは何か。戦後史の本質が垣間見えるスリリングな知の冒険の始まりです。

1吉田茂-尊皇の政治家 (岩波新書)

日本の戦後体制の根幹を形作った男・吉田茂の生涯を綴った一冊。吉田がいかにして米国との講和条約、日米安全保障条約の交渉に臨んだのか、そして憲法解釈など様々な方面に大きな影響を与えたことを読み取れる。安倍首相が「戦後レジーム」と呼んだ戦後体制の原点はまさにこの男の生涯にある。

2安全保障―戦後50年の模索 (20世紀の日本)

敗戦から冷戦終結後までの日本の安全保障政策の流れを体系的に、かつ特定の立場に偏らず論じた書籍。安保法制の国会答弁で参考人招致を受けた元防衛官僚も勧める、戦後日本の安全保障政策を知る上で恰好の入門書。日本が様々な制約の中で何を脅威とし、どのような手段で守ろうとしてきたのか、そのプロセスがこの1冊に濃縮されている。

3政府の憲法解釈

本のおすすめ度:4.7

元法制局長官が国会答弁の膨大なデータを整理し、政府がこれまで生み出してきた憲法解釈を体系的にまとめた一冊。2014年にその解釈の変更が話題となった9条解釈には1章が割かれ、自衛権の合憲性確立からソマリアへの海賊対策の自衛隊派遣まで9条がいかに解釈されてきたかが綴られている。日本の安全保障政策の流れを背景知識に覚えておかないと、法律家の固い言葉で書かれているため、手強いとかもしれない。

4新しい国へ 美しい国へ 完全版 (文春新書 903)

内閣総理大臣安倍晋三の思想が凝縮された一冊。第一次安倍内閣の所信表明のベースとなったとされる彼の書籍のアイディアは現在の第二次内閣にも通じるものがある。彼の集団的自衛権に対する考えは、ここに端的に表れている。「戦後レジームからの脱却」と いう政治理念から、彼が2014年7月の閣議決定、そして2015年5月からの安保法制審 議に臨む原点が垣間見える。

5亡国の集団的自衛権 (集英社新書)

イラク戦争時、首相官邸にあってイラクへ派遣された自衛隊のオペレーションを手掛け   た元防衛官僚が第二次安倍内閣の安全保障政策を批判した書籍。集団的自衛権行使容認による安全保障政策上の利益への疑問、目的が見えない行使容認のあり方への論理的な指摘が展開される。2014年の閣議決定において私たちが手にしたものとは何だったのかを考えさせる一冊。

6賢者の戦略 (新潮新書)

本のおすすめ度:4.3

国家間の情報戦に長けた専門家2名による対談本。第4章「集団的自衛権が抱えるトラウマ」で、第二次安倍内閣による集団的自衛権容認の「トリック」が明かされる。行使は9条下で許されないとするこれまでの解釈に安倍内閣はいかにして挑み、公明党、法制局長官など関係者といかなる駆け引きを繰り広げたのか。息づまる政治の舞台裏に二人の知性が挑む。関連本の佐藤優著『創価学会と平和主義』からも、集団的自衛権容認においての公明党の立ち回りが窺えて興味深い。