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【建築意匠】街歩きを楽しくするための建築・都市論

2015-07-25 06:55:30 +0900written by 鈴木 隆平

建築家や建築学生、特に意匠(デザイン)分野の学生は街歩きや旅行をしていても少し変わった視点で街を見ています。あなたもこの本棚にある本を読めば街の見方が少し変わるかもしれません。散歩が好きな人、旅行が好きな人、必見です。

1吉祥寺スタイル―楽しい街の50の秘密

 住みたい街ランキングで必ず上位に入ってくる街、吉祥寺。その街の心地よさを、ニューアーバニズムの視点から分析し、都市構造や建築物の特徴も含めて理論的に解き明かしています。都市の専門家でなくとも、誰でも読めるようにと、写真やイラストが多く使われ、各キーワードが2〜4ページでユーモアに説明されています。まちづくりに詳しいかどうかに関係なく、誰でも気軽に読むことのできる本ですし、「建築学」や「都市計画学」をより身近に感じることができるはずです。

2街並みの美学 (岩波現代文庫)

本のおすすめ度:4.6

 世界各地の街並を空間領域の問題として捉え、建築・空間・人びとの生活の連関性を見出す一冊。特に西洋と東洋での価値観の違いをとりあげ、広場や街路などの外部空間にも焦点を当てています。道路の幅と建物の高さの比率、地と図としての両者の混ざり具合、そして建物の輪郭線など町を歩いていてなんとなく感じるその街の美しさを、一つ一つの要素に分解してわかりやすく解説しています。

3続・街並みの美学 (岩波現代文庫)

 続編では主に景観問題そのものを取り扱います。西洋建築と日本建築を比較して、壁の建築と床の建築との比較検討から景観への影響を論じるというもの。景観の構成、コミュニティとプライバシー、景観の中での商店街の役割、都市空間の演出などを論じ、都市美化を実践するとは何かを問い、最後に世界の街並みの景観を分析しています。

4WindowScape 2 窓と街並の系譜学

 ひとつの通り沿いに現れた窓の反復の複雑なリズムやパターンを、窓の集合的なふるまいとして観察した一冊です。写真や図が多いので写真集のように読むこともできます。 【少し解説】そもそも窓は、光や風が建築の内部にもたらされる開口部であると同時に、内外、社会と個人、コミュニティと家族など対比されつつも浸透し合う二つの概念が集中する「閾」でもあります。こうした窓がひとつの通りに反復されるとき、その街並は個人の努力だけでは決して達成しえない偉大な姿を示します。そこで生活する「個」の存在を象徴する窓が、お互いの距離を保ちながら集合する街路空間は、「公」の水準を象徴するものとなるはずです。ここに個の参加が全体を支え、全体のあり方が街並の独自性をつくり、その独自性がこの是億世に還元されるという、回帰性のある公共空間のモデルを論じています。

5アースダイバー

 現在の地図と縄文時代の古地図を重ね合わせることで何が見えてくるか、という切り口から東京の古層を探検する知識の考古学を実践した「ブラタモリ」的な本。地質学でいう洪積層(固い土)と沖積層(砂地)で地図を色塗りすることで、現在の東京の風景がどのように過去の地形や遺跡と関連づけられているかを明快に示しています。さらに街の発展の仕方や神社・仏閣などの宗教施設の立地なども地図の重ね合わせから類型化できることも示唆しています。  「過去から現代への連続性が現在の景観を規定する」というストーリーを様々な分野(建築学、造園学、環境学、歴史学、民俗学、地理学、考古学)を横断しながら語っていく本書はあなたの知的好奇心をくすぐるに違いありません。

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