わくわくするような未知の知との出会い

有機化学反応のパズル的理解を目指して:電子密度と立体造形から

2016-07-06 12:12:13 +0900written by YOSHIDA Yusuke

オクテット則のような化学の基本原理は履修済みで、有機化学を履修中の方に向けて。 有機化学の勉強を始めた人ならわかると思いますが、膨大な有機化学反応すべてを覚えるのはあまりにも非効率ですし楽しくないですよね。そこで勧めたいのは、化合物の電子密度パターンと立体造形を意識できるようにして、このことを基礎とした反応のルールを把握することから始めようということです。分子をパズルに見立て、噛み合うところ反発するところを意識し、そしてまるでピースをはめていくような感覚でさまざまな有機化学反応に向き合うことができます。

1電子の動きでみる有機反応のしくみ

有機化学反応が電子の移動によって成り立っているということがはっきりと理解できる名著。電子密度の分布のことは極性という概念で説明されているが、この極性こそ反応を決めている大きな要素のひとつとなっている。この本を通して、この化合物の電子密度分布はこうだからこういう電子移動が起こって反応が進むだろう、と考えられる思考法を身につける。

2マクマリー有機化学(下)

有機化学を学ぶのに最初に手に取った一冊、高専時代での教科書。 化合物の電子密度分布がコンピュータグラフィックスで視覚的に表現されており、感覚的に化合物の構造、官能基と電子密度との関係を理解できる。反応機構はあまり詳しく説明されていないが、そちらは演習問題で補間可能。 生物有機化学にも明るい。各章に生化学のコラムが用意されており、下巻では代謝反応の有機化学について詳しく扱っている。

3ボルハルト・ショアー現代有機化学(第6版)[上]

京大農学研究科の院試勉強のために使用した教科書。前駆体、反応条件、生成物を見開きで一覧できるようになっており使い勝手が良い。機器分析についても詳しい。また、マクマリーと比べると合成戦略に強い。

4有機化合物のスペクトルによる同定法―MS,IR,NMRの併用

有機化学の機器分析法を網羅的に扱い、実践的に使えるように構成されている名著。NMRでの解析には電子雲による遮蔽という概念が重要であり、学んできた電子密度分布を応用し、解析を通してさらに深めるといった使い方もできる(できた)。

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