わくわくするような未知の知との出会い

宇宙の始まりを求めて。 宇宙論の歴史をたどる本棚

2016-06-28 15:08:16 +0900written by 新居 舜

我々人類は先史時代から、宇宙に絶えず関心を寄せてきました。宇宙の成り立ちをめぐる学問は宇宙論と呼ばれています。21世紀を迎えた今、天文学は驚くほどの精密観測が可能になり、宇宙の始まりから現在に至るまでの宇宙の進化が詳細に理解できるようになりました。さらに、精密観測・大規模サーベイからデータを大量に得られ、宇宙論はビッグデータを利用した一大データサイエンスで、多くの人が活躍できる研究分野となりました。 この本棚では、宇宙論の最先端で研究する大学院生が、自分が辿ってきた読書の履歴を紹介しました。これらの本を読んで、宇宙の始まりを探る冒険に出てみませんか?

1僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して (ソフトバンク文庫)

僕らは学校で「スイ・へー・リー・べー...」と続く100種類以上ある原子を習います。しかし、「原子がどうやってできたのか。」この問いの答えまでは教わりません。実は原子を作っているのは宇宙にある星たちなのです。この本では、原子の発見から20世紀天文学が誕生するまでの物語が描かれていきます。物語タッチの文章から、当時の知的興奮と解明した感動がひしひし伝わってきます。入門書として最適。

2宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)

先史時代から続く天文学の集大成として天動説が誕生しました。16世紀、コペルニクスやガリレオが提唱する地動説によって天動説は覆されようとしていました。しかし、18世紀に大口径の望遠鏡が登場するまでは、決定的な証拠を欠いていました。この本の中では、こうした時代背景と交差しながら書かれています。稀代のサイエンスライター、サイモン・シン珠玉の1冊。

3宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)

アインシュタインが生み出した一般相対性理論に基づくと、膨張する宇宙があることが明らかになりました。その後ジョージ・ガモフにより提唱されたビッグバン理論をめぐる議論とその証拠をつかんだ科学者たちのドラマが展開されています。僕はこの本の中で天文学者ハッブルがアンドロメダ銀河までの距離を測定するシーンが大好きです。おすすめ。

4宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった (PHP文庫)

原子の起源は星にあるとしたら、星の起源はどこか? 宇宙の始まりはどこにあるのか? この本では、宇宙誕生後に起こった”インフレーション”がその起源であると、インフレーション理論の創始者の1人である佐藤勝彦氏が説明しています。インフレーション理論に基づくと、多宇宙が存在し、宇宙は「無」から創生する、と佐藤氏は述べています。物理学理論が導く話は神をも超えてしまうのか。信じがたい理論が、ここにはあります。ミステリアスな一冊。

5現代宇宙論―時空と物質の共進化

結局、僕らはこの宇宙についてどこまで理解したのか。その問いに答えてくれる1冊です。僕が所属する名古屋大学 宇宙論研究室の准教授である松原隆彦氏が、現代宇宙論の概観を物理学科の学部生が理解できるように説明してくれています。僕は今なお、基本事項の確認のために使っています。研究へと進むあなたのガイドブック。

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