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民事訴訟の流れをつかむ~判例や学説の理解の前提を作る~

2016-05-16 14:35:09 +0900written by 川名 正展

私自身が受験生なので、受験生視点で、これから民事訴訟法を学ぼうとする人向けに作成する本棚です。 民事訴訟法を勉強する上で大事なこと、特に初学の段階では「自分が勉強している問題や論点が民事訴訟手続のどの時点の話なのか」を理解することです。例えば、裁判所に裁判をしてほしいです!と伝える場面なのか、実際に裁判所の法廷で主張する場面なのか、裁判決を言い渡す場面なのか。まずは大枠を学ぶことがとても重要です。なぜなら、民事訴訟に共通する価値観や思考方法の表れ方がその時点・場面に応じて異なってくるからです。したがって、その大枠を掴むのに適すると思う薄めの本を紹介したいと思います。 紹介する本すべてを読む必要はないと思います。百選を除けば、この中から1~2冊を選んで読めば民事訴訟の流れをつかむには十分だと思います。 もし発展的な内容の基本書や演習書が知りたいということであればご連絡いただければと思います。

1伊藤真の民事訴訟法入門 講義再現版

法学部の方なら一度は聞いたことがあるはずの「伊藤塾」の参考書です。ページ数が少なくササッと読みきれる量だと思います。 すぐに読みきれることに加えて、流れが要点毎によくまとまっているので読みやいと思います。 最初は論点や問題点にあまり飛びついたりせず、「そんな論点があるのかー」くらいにして、おおまかな訴訟の流れや重要な原理原則をつかむことに徹することをおすすめします。訴えが提起されてから判決が確定するまでが一つの訴訟ですから、まずは全体を俯瞰する感覚で読むのが良いと思います。 この本だけでは内容的には不十分であると思いますし、必読とは思いませんが、最初にこれ読んでおくと基本書が読みやすくなると思います。

2民事裁判入門 第3版補訂版

私が先輩に薦められて読んだ本です。具体例を示しながら、なぜそのような制度に至ったのか、なぜそのような問題が発生するのかを語りかけるように説明してくれます。中野貞一郎先生の本なので入門とあっても内容には厚みがありますし、難しい内容もあります。しかし、一つ一つ丁寧に説示してくれるので読むことに苦労する感覚はそこまでないと思います。 基礎的な理解を具体例を通じて促してくれるのでとても勉強になります。ここでは民事訴訟においてどのような考え方、価値観がベースにあるのかということを理解することに努めると良いと思います。

3コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法

「基礎からわかる民事訴訟法」という約600頁ほどの基本書の要点だけを短くまとめたコンパクト版です。最近では「基礎からわかる民事訴訟法」をメインの基本書とする方も多く、私も普段からよく使っています。筆者の和田先生は実務家の先生で、内容が分かりやすいことから多くの方が読んでいます。私の友人も持っている人が多いです。そのメインストリームになってきている基本書のコンパクト版なので、要点を掴むのにはおすすめです。 図や表を用いて視覚的に理解しやすいというのが特徴です。 最終的に和田先生の基本書を読みたいという場合には、ここで読まなくても良いかもしれません。「民事裁判入門」かこのコンパクト版を読めば民事訴訟の流れや大枠については理解が深まると思います。

4民事訴訟法判例百選 第5版 (別冊ジュリスト 226)

4番目に読むものとして挙がっていますが、基本書のように通読するものではなありません。ここまで読めば自ずと必要になるはずなので、当然のごとく挙げました。 法律の勉強すべてにおいて欠かせないのが判例です。判例百選は勉強するときには常に横においておくことをおすすめします。最初のうちはあまり気にする必要はないと思いますが、ある程度勉強が進んできたら基本書や演習書で重要判例を指摘している場合には適宜参照してみてください。具体例を通じて、「問題の所在」「対立する利益や価値」「問題解決するための規範とその理由」などなどをおさえながら読むと良いと思います。 とくに民事訴訟法は学説が多く存在しますので、判例を考えの中心として学習しながら、なぜそのような結論をとったのか、なぜ判例とは考え方の異なる学説が存在するのか考えてみることも勉強になると思います。