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【芸術と社会の関係を考える 入門】20世紀以降の舞台芸術と現代社会

2016-04-25 06:31:45 +0900written by 大矢 未来

専門書に入る前の段階で「芸術と社会との切っても切れない関係」を知る・考えるきっかけになるような書籍を紹介します。 この本棚では、ドイツ、オーストリア、日本の舞台芸術と現代社会に焦点を当てています。演劇好きな人だけでなく、芸術と社会の関係を考える全ての方におすすめです。興味に合わせて気になった本から読んでみてください。 また【Webマガジン「シアターアーツ」http://theatrearts.aict-iatc.jp/】では、日々更新される演劇シーンがレポートされています。本を読む前にこちらをチェックしてみるのも良いかもしれません。

1ウィーン演劇あるいはブルク劇場

ウィーンと現代演劇について知るなら、まずはこの本。前半はブルク劇場やウィーンの劇場文化について歴史的な背景から説明され、後半は現代の上演についてわかりやすく書かれており、現代ウィーン演劇のイメージを掴めます。

2フェスティバル/トーキョー12ドキュメント

現代日本の演劇と社会の関係について知りたくなったらこちらがおすすめ。 毎年秋に開かれる舞台芸術の祭典フェスティバル・トーキョーの公式本。国内外の気鋭のアーティストが集うこの祭典でも、2012年から2013年にかけてイェリネクの『光のない。』含め、3.11を意識した展示や上演が多く行われました。 「座談会 ことばの彼方へーイェリネクの演劇言語をめぐって」、その後の「現実へのアクションー演劇が生み出す摩擦」は要チェック。

3平田オリザ (文藝別冊)

2冊目に次いで現代日本と演劇の社会の関係について知るなら、こちらもおすすめ。現代日本を代表する演出家平田オリザの特集で、対談形式のものから戯曲まで様々な記事が収録されており、彼の活動について大まかなイメージを掴めます。この中の3.11後の福島を題材にしたオペラ『海、静かな海』は、2016年1月ハンブルク歌劇場で世界初演されました。大学や政府とも協力し芸術政策・コミュニケーション教育にも力を入れる彼の活動は、芸術と社会の関係を考える上で欠かせません。これを読んで気になった人は、彼自身の著作を読むのも良いでしょう。

4光のない。

1冊目または2冊目を読んで、戯曲を読んでみたくなったらこちらがおすすめ。 現代オーストリアを代表する作家イェルフリーデ・イェリネクの戯曲集です。表題の《光のない。》は東日本大震災と福島第一原発事故を受けて書かれ、日本でも上演されました。独特の文体に初めて読む人は面食らうかもしれません。 海外の作家による3.11後の世界へのメッセージは、最もアクチュアルな題材になりうるでしょう。 また、オーストリアの難民政策を批判した《庇護にゆだねられた者たち Die Schutzbefohlene》(2013)は彼女の公式サイトで公開されています(http://www.elfriedejelinek.com/)。

5母アンナの子連れ従軍記 (光文社古典新訳文庫)

こちらも戯曲を読んでみたくなった人向け。 20世紀を代表するドイツの作家ベルトルト・ブレヒト(1898-1956)は、作品や演出手法、思想など現代まで多くの芸術家に影響を与え続けています。1939年成立の本作は、三十年戦争のまっただ中、軍隊に対する商売に勤しむ母親とその三人の子どもたちの物語です。第二次世界大戦のまっただ中の初演には当然ながら戦争批判が込められており、現代でも度々上演されています。

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