わくわくするような未知の知との出会い

こころを理解する、測る、 ー脳科学・精神医学・神経科学・心理学・統計学からー

2015-09-25 11:47:22 +0900written by 小林 諭史

ここの本たちと出逢えば、もうあなたは初対面の人に血液型を聞くことはなくなるだろう。 こころというのは何なのだろうか? 自分自身のこころを理解できている人は少ないのではないだろうか。こころの研究(心理学だけではない)はこれまで、そしてこれからも人類の重要なテーマだろう。しかしこれまでそういった研究は科学的でないと指摘され続け、再現性が低いものも少なくなかった。近年、非常に科学的手続きに厳密で、さらに多領域の知見を取り入れた画期的研究手法がいくつも登場してきている。おそらく今後10年以内に、脳の厳密なモデル化が可能となれば、精神疾患などは劇的に治る時代がやってくるだろう。 こころの研究は心理学だけではない。分子細胞生物学、精神薬理学、行動科学、脳機能イメージングなどの発展で、こころの研究は客観性と再現性を備えた科学の一分野として大きく発展した。そしてこれからはさらに、こころの科学は大きな変化の時期を迎える。範囲の膨大なこの領域でも、激アツでおもしろいこころの科学たちを個々に紹介する。こころのことがどこまでわかっているか、精神疾患とは何なのか・なぜ治らないか、この本棚を覗けばこういった疑問は瞬時に解消されることだろう

1最新脳科学で読み解く 脳のしくみ

本のおすすめ度:3.9

こんなひとにおすすめ  心理学に興味があるけどなかなか敷居が高いと感じる人  神経科学や心理学を勉強したけどおもしろくなかった人  最新科学とこころの関係について知りたい人    Nature Nuroscienceの元編集長が執筆した脳科学の本。興味を引くさまざまなトピックスに対して、科学的に実証された理論を紹介しながら解説する笑いあり、驚きありの入門書。ヒトの心と行動と脳の関係について、楽しみながら概要をつかめる。興味をひくコラムも豊富で、人に話したくなる知識で溢れている。例えば・・・ モーツァルトを聴くと赤ちゃんはほんとうに賢くなるのか? 車のキーを忘れても運転の仕方を忘れないわけ 意志は鍛えられる? セックス、愛、きずなと脳科学 などなど、どれも思わず読んでみたくなる話題が満載でありながらどれもが厳密な研究に基づく知見から構成されていて、こころについて知ることができる。

2第4版 カールソン神経科学テキスト 脳と行動

本のおすすめ度:4.7

海外で神経科学の教科書として広く使われているPhysiology of Behaviorの邦訳版。原書は高頻度に改定されていて、最新知見にあふれ、わかりやすくまとめられている。この邦訳版も日本の神経科学研究者たちが厳密にありながらわかりやすく書いたもので、日本と海外での違いなども注釈が加えられている。 神経系の解剖生理、精神薬理学、研究法、精神医学、心理学諸領域までカバーしている。図が豊富で各章ごとに読み切りのため、調べ物に最適。これさえ全て理解すればこころの科学は語れるくらい網羅性と最新知見に富んでいるが、700ページと量が多く、価格も高いのが欠点。

3岐路に立つ精神医学: 精神疾患解明へのロードマップ

精神医学の第一人者、加藤忠史先生が精神医学の歴史と近況、課題と問題点、そして将来への展望を非常にわかりやすくまとめている。  精神科の薬は効くのか、副作用はどうなのか、なぜなかなか精神疾患は治らないかなどの一般的な疑問にも答えてくれており、精神医学の実際がこの一冊で理解できる。

4統計のはなし―基礎・応用・娯楽 (Best selected business books)

本のおすすめ度:4.7

統計学の本というのは難しい式が出てきて標準的なベンゾジアゼピン系薬剤よりも鎮静効果が高い。この本は統計を知らない人でも最後まで数日で読めて、統計学の概略を理解できる。 心というものは直接に測ることができない。心を研究は客観性を持たせることがこれまで課題となってきた。近年は脳の血流や電位変化、行動、質問紙の調査を行っている。こうした心に関連する指標を扱うには厳密な統計解析が重要となる。統計学を知れば、複雑に思える実験の結果も理解でき、より心の研究がよく理解できるだろう。

5心理学 (New Liberal Arts Selection)

「一冊で心理学について学べる本はないか?」と聞かれたら間違いなくこれを勧める。臨床心理系大学院入試対策にも使える網羅性があり、内容も充実している。まずはこれを眺めてみて気になったところを読んで、専門の領域の本に進むのがスムーズ。 心理学は大きく分けて、臨床心理学、認知心理学、社会心理学、発達心理学、神経心理学、学習心理学、行動科学、脳科学などなど大きくわけられないくらいに裾野は広いがそれらを概ね網羅しているし、研究法や統計学についても言及がある。