わくわくするような未知の知との出会い

物理学ってクレイジー!

「この世のすべての現象をたった一つの究極的な法則で記述し説明する」

 

今回のコラムは【物理学とは何か?物理を学びたい人・学んでいる人にお薦め!】という本棚を作成いただいた竹内さんに書いて頂きました。本棚だけでは伝わらない、本棚や専門領域への情熱や背景を覗いてみましょう。

【自己紹介】

初めまして。

大阪府立大学大学院の理学系研究科で理論物理学を研究している竹内雄哉と申します。私はバリバリの理系学生ですが、「便利な製品を作って世の役に立ちたい」とか、「すごい発見をして有名な学者になりたい」などという気持ちは皆無です。私の専らの興味は「この世って何?」「自分って誰?」といったことで御座いまして、今日は、それらの疑問を全て解決してくれると私が信じて止まない《物理学》についてご紹介させてもらいます。

 

【物理学って何ですか?】

さて早速ですが、皆さんは《物理学》と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。私の経験では、この質問をすると大概の高校生は「よくわかんない、難しいし!」と返答します(バカにしている訳ではありません。現在の高校物理の教育では物理学の本質を理解することは不可能です。従って私の本棚の本を読んで下さい 笑)。

一方、同じ質問を大学生に聞くと「理系の中でもガチな感じ!」という斜め上の回答もたまにはありますが、「宇宙とか天体」や「半導体とか電子・原子」といった具合に、現象や物体を思い浮かべる人が多いように感じます。実はどんな現象や物体を思い描いていたとしても、それは物理学を表す上で的を射ています。なぜなら、物理学を物理学たらしめるものは、この研究対象の幅広さだからです。

では、なぜ物理学はあらゆる物事を研究対象とするのでしょうか。そしてそれらの物事・現象を解明して物理学者は何をしたいのでしょうか。これらの疑問に興味を持たれた方、ぜひ私の作成した本棚の本を読んでみてください。すぐにそれらの疑問が氷解すると思いますよ。ただ、本に丸投げするのも無責任でしょうから、私の考えをここで述べさせてもらいます

《物理学とは、この世のすべての現象をたった一つの究極的な法則で記述し説明することを目的としたクレイジーな学問》であり、《物理学者とはその究極的な法則があると信じ、それを追い求める人達》のことである。これが今まで10年ほど物理学を学び・研究してきた私の結論であり、また私もこの異常な性質を持った学問を探求する人間の一人なのです。

上述した研究対象の幅広さは、まさにこの究極性を追求するためには必然なのです。本来であればなぜ物理学がこんな異常な性質を持っているのかも紹介すべきなのですが、そこには西洋思想の長い歴史と宗教観が関係しており、コラムとして莫大な文章量になりそうなのでその点に触れるのは又の機会にさせてもらおうと思います。

ただ、この歴史・宗教と物理学の関係性に関しましても私の本棚の本でその片鱗は見ることがきますし、また今後もそれらを明快に説明してくれる本棚を作成する予定ですので、しばしお待ち下さいませ。

【なぜ物理学を研究しているのか?】

元々歴史が好きだった私は、高校時代から、「歴史は繰り返す」という言葉が示しているような、時が経っても変わらない人間の考え方や社会構造といったあらゆる事象に対する《普遍性・法則性》の存在に興味がありました。その性格(個性)が良く働いたおかげで、私は高校で物理を学びながら「物理は法則を発見する学問」という意識を持つことができ、大学でも物理を学ぼうとすんなりと決意できたのです。

ただし、博士になるほどまで物理学を研究するとは思っていませんでしたけどね。物理を研究しようと決めたのは、大学生になって講義を受ける中で自分ただ一人が、いま学んでいる物理学に不満を持っていることを感じ取ったからです。

その不満とは、物理学が現代までに発見した基本法則・原理が全て《時間反転対称性》と《決定論性》という2つの異常な性質を持っていることです。簡単に解説すると、前者は過去と未来は区別できないという性質であり、後者は全未来がすでに決まっているという性質です。「そんな馬鹿な!我々は歳をとるけど若返ることはないし、また未来は自分たちで切り開いていると確信している。いま私が大学の物理で習っていることは明らかに自分たちの見ている世界とは矛盾した理屈ではないか!」

私のこの不満に対して、日本で出会ったほとんどの物理学者は次のように言いました。「そんなこと言ったって、キミが矛盾していると指摘した理屈は現に我々の世の中を良く記述しているし、またこの理屈を使って我々は数々の発明をして世の中を豊かにできているのだよ」

確かにそうなのかもしれない。しかし、だからといってなぜこの矛盾がまかり通っているのかを追求しない手はない。「大人たちがこの問題に対して思考停止しているなら、オレがこの問題を解決する!」

この気持ちが、私が物理学の研究をはじめた動機であり、私がいまでも物理学を研究している理由になっています。皆さんも少しひねくれてみて、大学や高校で習うことをそのまま鵜呑みにせず、自分の見ている世界や自分の感覚を信じてみては如何でしょうか。そこにあなたの個性が隠れているかもしれませんよ。

 

【本棚の紹介・読者様へのメッセージ】

ここまでの文章でほとんどキーワードは述べましたが、私が本棚を通して読者の皆様に知ってもらいたいことは、「物理学は現象を興味の対象としているのではなく、その現象の背後にある原理・法則を興味の対象としている」ということなのです。そして高校や大学で物理を学んでいる人に、いま一度そのような視点で物理学と向き合ってもらいたいのです。そうすれば、特に高校生は、現象を論じる工学と原理を論じる理学のどちらに進路を選べば良いのか迷わなくなると思いますよ。

 

竹内さんの本棚を読む:物理学とは何か?物理を学びたい人・学んでいる人にお薦め!